第24話

???「ふんふんふーん♬︎」

???「あら、あんた」

???「ん?桃時ちゃんに橙ちゃん!やっほ〜!」

???「雨花さん、こんにちは。何かご用事ですか?」


ここは、黄泉比良坂。この世とあの世の境目である。ここは、あの世の開拓地のようになっていて、ショッピングセンターや保育園や遊園地(笑)まである。そんなところで、雨花、橙、桃時は出会ったのだった。


雨花「あぁ、今から小雨丸のご飯買いにくとこ!」

桃時「小雨丸のご飯って、確か前、半年に一回西洋から来てる何でも屋で買ってるって言ってなかった?」

橙「えっ!あのうさんくさいで有名な!?本当に行ってたんですね……」

雨花「あそこぐらいしか不死鳥とユニコーンのうんこなんて売ってないからね。あはは。」

桃時「全くもう、変なもんとか買わされてないの?」

雨花「大丈夫だよ!あのお店幼女ちゃんが運営してるし!全然危険じゃないよ!」

橙・桃時「幼女!?!?」


思わず驚いた。まさか幼女がお店を開いてるなんて。


雨花「あっでも西洋の神様らしいから本当の年齢は分からないけどね〜」

橙「あぁびっくりした……それを早く言ってくださいよ」

桃時「ホントよ〜もう」

雨花「そういえば二人は何してたの?」

橙「桃時さんがもっと飾り気を付けた方が良いって言って、アクセサリーを選んでくれるそうなんです。」

桃時「そ、だからアタシたちは今からショッピングセンターに行くとこ」

雨花「アクセサリー……そういえば今何でも屋でアクセサリーのセールやってるって言ってたよ!良かったら一緒に行く?」

桃時「へぇあそこアクセサリーなんて売ってんのね。アタシはどっちでも良いわよ。」

橙「私は仕事としてそのお店を調査しようと想っていたので、良い機会かもしれません!行きましょう!」


こうして、雨花一行は何でも屋に行くことになった。


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橙「ごめん下さーい……って何ですか!?この品揃え!?」

桃時「本当にこんなところにアクセサリーなんて売ってるの……?」

雨花「じゃあわたし、糞のコーナーみてくるから後でね!」


雨花は、そう言い残すと、奥の店内に入っていった。

店内は、至る所に積み上げられたダンボールや箱が置いてあって、海外の彼岸のポスターがたくさん貼ってあり、古びたポスターもすきま風でめくれては戻ったりを繰り返していた。。


橙「み、見てください……この本」

桃時「「彼岸生き物生態図鑑」?」

橙「す、すごい……不死鳥やユニコーン、鬼や悪魔の体の仕組みが載ってますよ!」

桃時「こんなの禁書レベルの逸品じゃない……!」

???「お前ら、何奴だ?冷やかしなら外でやれ。」

橙・桃時「!」


橙と桃時の前には、4メートルはあるであろう鎧を着た店主が出てきた。


桃時「ちょ、ちょっと!全然話と違うじゃない!!!!」

橙「雨花さんの言った幼女はいないんですか!?!?」

雨花「あったあったこれこれ……ってどったの?橙ちゃん、桃時ちゃん、隅っこでうずくまって……」

桃時「どうするもこうするもないわよ!!!!どこに幼女がいんのよ!!!!」

橙「ど、どうしましょ……」

雨花「いんのよ……って目の前にいるじゃん。」

橙・桃時「えっ?・は?」


三人の視線の先には、鎧を着た店主がいる。


雨花「久しぶり!ジェイドちゃn……じゃなくて翡翠(ひすい)ちゃん!」


雨花がいることに気が付くと、翡翠と言われた店主が鎧を脱いでいく。


橙「わぁ……!」

桃時「あらあら。」


そこから出てきたのは、翡翠色の髪に、青緑色の目をした可愛い幼女が出てきた。


翡翠「なんだ。お前ら雨花の友達だったのか。てっきりあたしの商売を邪魔するヤツらかと。よそよそしい立ち振る舞いだったからな。紛らわしいことをするな」

橙「ご、ごめんなさい……」

桃時「想ったよりも大分子供ね……そもそもこんなに怪しい店内なんだからそりゃあよそよそしくもなるわよ。」

翡翠「むっ!あたしは子供ではない!お前らより年上だ!」

桃時「そう。それなら謝るわ。ごめんなさい。」

翡翠「いや、大丈夫だ。あたしも言い方が良くなかった。すまなかった。」

桃時「じゃあおあいこってことで!翡翠はどうしてこのお店をやってるの?」

翡翠「我が一族は、代々神の補佐をやっていたんだ。しかも下っ端の神の。あたしの一族は昔から神通力も妖術もからっきしだからな……だからあたしの一族は力に頼らず、彼岸道具や彼岸の力を取り入れた品物を各世界の彼岸から収集してそれを元手に売買している。よく誤解されるが彼岸の品物が珍しいだけで怪しくなどない!ちゃんと店を出す許可も貰っている!」

橙「そうなんですね……疑ってしまいすみません。あの先ほど「ジェイド」さんと呼ばれていたようですが源氏名か何かですか?」

雨花「あぁそれは「ジェイド」ちゃんっていう名前が本名なんだよね!」

翡翠「日本では「翡翠」と名乗ってるんだ。」

桃時「へぇ随分綺麗な名前ね。」

翡翠「そ、そうか……えへへっ……」


雨花・橙・桃時「「(か、可愛いすぎる!!!!)」」


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翡翠「で、お前らは何買いに来たんだ?」

橙「そういえば物を買いに来たんでした……」

桃時「アクセサリーがセールしてるって雨花が言ってたけどやってる?」

翡翠「あぁやってるぞ。ここの棚だ。」


翡翠が案内すると、かんざしやネックレス、指輪にブレスレット。様々な種類のアクセサリーが売っていた。


桃時「とても綺麗……」

橙「高そうな宝石が付いた物まで売ってる……」

雨花「こんなコーナーあったんだ……」

翡翠「お前はいつもクソのコーナーとか誰も必要としないような物ばかりしかみないからな……変な奴だ。」

桃時「こいつは元々変な奴よ。こんなに珍しいものがあんのに……勿体ないわね。」


雨花、桃時、翡翠が話し込んでる間、橙はあるものをみつけた。


橙「翡翠さん。これ何ですか?」

翡翠「ん?それは「ブラッドブレスレット」っていう奴だ。」

桃時「綺麗な石がブレスレットになってて……一つだけ透明の石が入ってるわね。」

雨花「この透明の石は彼岸花かな?」


橙が持ったのはオレンジ色の天然石が通っているブレスレットで桃時と雨花の言ったように一つだけ彼岸花の形の透明の石が施されている。


雨花「でも、なんで「ブラッド」なの?ブラッドって血って意味だよね?」

翡翠「あぁ、その透明の石のところに自分の血を入れるんだ。」

桃時「えっ?血!?」

翡翠「そういう反応をするのも無理ない。みんな不衛生とか危ないとか言って買ったやつはほとんどいない。でも衛生面も危険性も大丈夫なんだけどな。そのブレスレットとと一緒にめちゃくちゃ小型のナイフを贈呈する。そのナイフで指を切ってその血を石に入れ終えたら傷口は元通りだし、このナイフで切る時は痛くないし、このナイフは対象者が「この石に血を入れる」という意思がないと切れないようになっているし、石も絶対割れないし、本当に大丈夫なんだが……」

橙「本当に徹底してますね……どうして自分の血を?」

翡翠「自分の血を常備することで、自分の持つ力。例えば学力とか体力とかそれから精神力を向上できると言われているんだ。」

桃時「アタシこれ欲しいわ」

橙「私もです」

雨花「これにするの?意外!」

桃時「あんたも良かったら付けない?アタシたちと兎白と瑠璃人にも渡そうと想うんだけど、もちろんこれから二人に確認取ってからあの二人の分は買うけど……これ自分の血をこの透明な石に入れるんでしょ?みんなでお揃いにしたら血が繋がってるみたいで心強くならないかなって。あんたはどうする?」

雨花「…………」

橙「私皆さんと何かしらお揃いのものが欲しかったので、個人的には嬉しいです」

雨花「…………良いよ!じゃあ私も買うね。」

桃時「じゃあ今から二人に確認取ってくるわね。」


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翡翠「毎度ありだな。ありがと。」


こうして三人は帰路に着いた。

後日、雨花の仕事部屋に橙、桃時、兎白、瑠璃人が来て、五人でお互いのブレスレットを見せ合いっこした。

瑠璃人は、瑠璃色の天然石。

兎白は、白色の天然石。

桃時は、ピンク色の天然石。

橙は、オレンジ色の天然石、

そして、雨花は、黒っぽい紫の天然石。

それぞれのイメージした天然石のブレスレットを付けて、お互い笑いあった。

独りだけ、心から笑っていない者がいたとは誰も知らなかった。


翡翠(ひすい)・ジェイド

西洋の神様で「何でも屋」を運営している。日本では半年に一回のペースで出張に来ている。神通力や妖術はあまり使えないが、商売にはとても真剣で、店のことを悪く言われると、強く怒り、店のことをとても大切にしている。しかし、店の雰囲気から怪しさやうさんくささがどうしても拭えないため、あまり客足はない。雨花は、ここをとても気に入っており、ここで小雨丸の餌を定期的に購入している。


容姿→

身長:120cm 体重:20kg

翡翠色の髪に、青緑色の目をした幼女の姿をしている。服装はオーバーサイズの薄萌葱色のニットに碧緑色のエプロンを着ている。萌え袖で、袖から手が出ておらず、袖がぶら下がっている。また、お店の冷やかし防止のため4メートル近い鎧を着用している時もある。

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