第18話

???「雨花さんの一日ルーティン?」

???「そうなんですよ。雨花さんって何かこう病みっぽいところあるじゃないですか?そういう人のルーティンを知りたいって内の兄が……言ってまして……」


ここは、冥府。閻魔大王補佐官「不山橙」とその助手である「紅緒」が閻魔大王である「紫雲雨花」についての話をしていた。


橙「あぁ、あのお兄様ですか……確か女子に執事服を着させようとしていた方……でしたっけ?なぜ知りたいんですか?」

紅緒「実は、兄がコ○ケに出す漫画に雨花さんのような病みを抱えた女子が必要なみたいで、でも自分では中々分からず……私から雨花さんのことを知って、雨花さんをモデルにしたいと想ったらしく……」

橙「なるほど……。でも雨花さん本当にすごく気配に敏感な方なので私たちが追跡してもすぐ発覚していつものルーティンはしないかと想います……」

紅緒「そうですよね……どうしましょうか……」


うーん、と二人は頭を悩ませると、ある男がやって来た。


橙「あら、兎白さん。」

兎白「橙。雨花どこか知らないか?この書類を確認して欲しいんだが……ん?もしかして何か話の途中だったか?それならすまん。」

橙「いえ。大丈夫ですよ。……あっ兎白さんお話する時間ありますか?雨花さんのことでお話が……」

紅緒「そうですね……!兎白さんなら色々知ってるかもしれませんし……!!」

兎白「?、よく分からないが別に良いぞ?……でも雨花が周りに知って欲しくないことは言えないが……」

橙「それで大丈夫です!」

紅緒「お願いします!!」


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三人は橙の仕事部屋で話を始めた。


紅緒「まず、昔雨花さんは「黒い彼岸花」って言われてましたよね?その時の様子を教えてください!」

兎白「そうだなぁ……あの時、というか今も雨花はとても何か抱えきれない想いを抱えているように想う。多分親や周りの環境のことで。」

橙「親……ですか……」


橙は自分の親のことを考える。自分のことを操り人形のようにして支配し、橙の大切な人を取り返しがつかないほど傷つけたあの母親のことを。


紅緒「雨花さんのご両親はどんな方だったのでしょうか?」

兎白「俺もそこまで詳しい訳じゃないんだが、確か雫さんにちょろっと聴いた話によると、雨花の母親と父親の仲はすごく悪かったらしい。離婚までしたらしいがそれでも完全に母親と父親は離れることはできず、母親の家や父親の家を行ったり来たりしてたらしい。なんでそんなことしてたか理由は分からないが……」

橙「…………」


橙は想った。

「(十中八九、雨花さんのお母様とお父様との家を往復してたのは、どっちに対しても何か辛い気持ちを抱いていて、どっちの家も雨花さんにとって"居たい居場所"にはなれなかったでしょう……具体的なことは分かりませんが……)」


紅緒「ご両親以外のことはどうでしょう?」

兎白「ある人たちを自分のせいで取り返しがつかないほど傷つけてしまったらしい。そのことは一度雨花に聴いたことがある。その時、雨花は、「不可抗力とかじゃなく本当に自分の意思で傷つけた」と言っていた」

紅緒「どういう風に傷つけてしまったんでしょう……」

兎白「その事も俺は知ってる。雨花の過去は大雑把だが雫さんから本当にある程度だが聴いてるからな。でもこれ以上は言えない。この話をする時の雨花はとても虚ろだった。この話はそう簡単には触れてほしくないんだろう。」

紅緒「なるほど。自分の過去を知られないようにしているってことですかね?」

兎白「まぁそういう事だな。」

橙「雨花さんは……」

兎白「……ん?」


橙は誰しもが聴きたいこと聴いた。


橙「雨花さんは、今何を想ってあんな激しく修行をしているんでしょう……どうしていつも自分を責めるんでしょう……」

兎白「……雫さんから聴いた話に寄ると、雨花は「ある力」を手に入れようとしているらしい。」

橙「「ある力」ですか?」


紅緒は、メモを取っていく。それと同時にこの話は簡単に広めて良い話じゃないような気がしてきた。


橙「それは何ですか?」

兎白「それは俺にも分からない。……でもその事について聴いた時、雫さんはなんというか懐かしそうな目をしていた。それと同様に寂しそうな目になっていた。どうして寂しいのは分かるが、懐かしそうな目になっていたのかは分からないが……」

紅緒「思えば雨花さんもですが雫さんのことについても分からないこと多いですね……雨花さんが「病み」なら雫さんは「闇」って感じというか……」

兎白「あの二人はどこか似てるよな。……何故が分からないが」

橙「……分かりました。兎白さんご説明して下さってありがとうございます。雨花さんのこと本当に少しですが知れて良かったです。」

兎白「そうか。この話はあんまり広めて欲しくないからよろしくな。じゃあまた。」


こうして三人は話を終えて、兎白は帰って行った。


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橙「紅緒さん……この話は……」

紅緒「はい。絶対口外しません。兄には無理だったとはっきり言うつもりです。」

橙「!、ありがとうございます」


そして、二人はそれぞれの仕事を戻っていった。


???「秘密にされると暴きたくたる……人間の性だねぇ……まぁ約二名神様だけど」


「あの人たちはわたしのことを全部知ったらどうなるの……かな…」


黒髪に紫の髪を持った少女が三人をみていたことは誰も知る由もなかった。

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