第14話
「お前ちょっとツラ貸せや」
???「ん?」
ここは彼岸。「紫雲雨花」は商店街を歩いていた。そして男に声をかけられた。
男「俺と力試ししろ!!俺はこの辺をいずれ全て占める男だ!!お前ぐらい勝てなきゃそんなことできない!弱っちそうだし。おれが相手するんだ。全力で来い!」
雨花「はぁ……よく分かんないけど。面倒くさそうだから嫌だ」
男「なっ……!ふざけんなお前逃げるのか!!」
雨花「えっうん。まぁそうだね。」
男「……!ふざけんな!俺と勝負しろ!!」
そういうと男は雨花にぐんぐん近づき、襲おうとした。しかし、
雨花「ひょい」
「何!?!?」
男のタックルを自分を宙に浮かしてひっくり返り男の後ろに見事着地し躱したのだ。
男「何て身のこなしだ……!くそ!!ならこれはどうだ!!」
今度は、巨大な炎を作り出し雨花に浴びせた。
雨花「わぁー」
炎が雨花に直撃した。
男「ふん!どうだ!!……ってあれ!?」
雨花「あぁ気持ちよかった!体が暖まったよ!ありがとう!」
「何!?!?」
その後もキンキンに冷えた水を浴びせたり、くないを投げたり、数何万の針を飛ばしたり、爆発させたりしたが、雨花には傷一つ付かなかった。それどころかお尻をポリポリ搔いている。
男「くそっ何でた!!!!」
雨花「もう行っても良い?」
男「待て!行くな!お前何者なんだ……!」
すると雨花は、クルッと首だけ後ろに向けこう言った。
雨花「ただの閻魔だよ。」
男「!」
男「(……って言うことは神様だったのか……!俺はなんて馬鹿なことを……!)」
雨花「君。」
男「!はい……」
男は雨花に仕返しをされると想ったが、雨花が取った行動は全く違うものだった。
ぽん
男「!」
雨花が男の頭にぽんと手を置いたのだ。
雨花「君。そういう尖り方は今のうちにやめといた方が良いよ。場合によっては取り返しのつかないことになる。この辺りを占めなくても、わたしなんかに話しかけてくれる優しさがあるならあなたを受け止めてくれる人はいるはずだってわたしは想いたいな。それがどんなあなたでも。でもそのためには相手のことも自分なりに大切にしなくちゃいけない。その大切にする方法が相手にとって良くないものなら、お互い話し合ってゆっくり尊重し合えば良いんだよ。難しいけどそうすれば少なくともあなたは認知されるから。だから少しずつで良いから頑張りな。」
そういうと雨花は去っていった。男の心を掴んだとも知らずに。
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雨花「……っていうことがあったんだよ!あんなテンプレ不良まだいたんだね!」
橙「まさかぶっ飛ばしてないですよね?そんなことしたら評判が悪く……」
桃時「何言ってんのよ。雨花は自分の悪口を言われたらそのまんま受け取る性格なのよ?悪口言われたら罰が下されてる気分になって自分を戒めるんだから自分を悪く言ってくる奴は雨花からしたら助かる話なんだから」
橙「まぁそうですけど……私なら炎で反撃しますけどね」
桃時「あんたもあんたで恐いわよ」
雨花「じゃあ桃時ちゃんはどうするの?」
桃時「フルボッコ」
橙「人のこと言えないじゃないですか!」
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???「あっ!頭(かしら)!」
???「……げっ」
???「誰です?あの人。」
書類の整理道具を購入するため、雨花と橙の二人は黄泉比良坂にあるショッピングセンターに来ていた。そこで例のテンプレ不良男に会ったのだ。
男「おっす!頭!何か買い物ですか?お手伝いさせて下さい!」
雨花「え、えぇぇぇ……」
橙「この方が前に言った方ですか?」
うっす!……と橙にも挨拶した男。そして雨花に向き直り、雨花の荷物を持とうとした。
雨花「わたしのは大丈夫だから。」
男「でも何か手伝いたいっす!」
橙「じゃあこれからの買い物に付き合って貰ったら良いのでは?」
雨花「ちょ橙t((男「ぜひおなしゃす!」
こうしてお供を連れて、買い物を行った。
男「姉貴の荷物も持ちますよ!」
橙「あ、姉貴?」
男「はい!雨花さんが「頭」なら橙さんは「姉貴」かなと!」
橙「は、はぁ」
雨花「もう買い物良いんじゃない?姉貴。」
橙「雨花さんまで姉貴呼びしないでください。」
雨花「ふふ、ごめんごめん」
橙「別に大丈夫ですけど……笑」
男はこの二人みたいな関係性を持ちたいなと密かに想ったのだった。
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