第15話
???「なぁ雫さんって何者なんだろうな?」
???「何者って……神様なんじゃないんです?」
???「でも確かに雫さんの過去とか誰も知らないよな……」
???「確かにそうね……」
???「ねぇあのさ……」
「「何でわざわざわたしの仕事部屋で話し合いしてるの????」」
ここは冥府。瑠璃人は最近ある疑問を抱えていた。それは我らが師匠。雫のことを何一つ知らないこと。雫は、数々の弟子を抱え、悩み事を聴いてきた神であり、そんな神のことを何も知らないのは不義理なのではないかと。それを言うために雨花、橙、桃時、兎白を集めて話し合いをしていたのだ。
雨花の仕事部屋を無理やりハイj……貸し切って貰って。
瑠璃人「なぁやっぱり気になるだろ……?雫さんなんか秘密の塊って感じもするし。」
桃時「でもそんなのどうやって暴くのよ。雫さんも知られたくないことがあるんじゃないの?……誰かさんみたいに」
橙「そうですね……誰かさんみたいに」
橙と桃時は、雨花をみる。雨花は視線を逸らした。
兎白「でも雫さんにも恩返ししたいし、少しぐらい雫さんのこと知りたいよな……」
瑠璃人「そうでしょ?という訳で……今夜雫さんの家に忍び込んで色々探ろうと思います!どうでしょう??」
雨花「うーん……みんなに任せる」
橙「嫌です」
桃時「嫌よ」
兎白「嫌だな」
瑠璃人「えぇ!?!?雨花以外即答!?!?もう少し考えてくれよ!!」
桃時「何が悲しくて自分の恩人の家に泥棒みたいなことしなくちゃいけないのよ」
橙「私だって嫌です」
兎白「絶対やらないぞ」
瑠璃人「ふふん。そういうと想って俺は予め準備しといたのだよ。」
桃時「何よ。準備って。」
そういうと瑠璃人は、紙袋からDVDを取りだした。それは……
桃時・兎白「そ、それは!?!?」
「「ピンキーミルキーラビットフェスの録画DVD!?!?!?!?」」
瑠璃人「さぁどうします??俺に協力してくれたらこれをあなたたちにあげますよ?もちろん人数分……!」
桃時・兎白「やるわ・やる」
橙「えぇ!?!?物で釣られるなんて本気ですか!?」
桃時「仕方ないのよ。このDVDは販売されてわずか一時間半で無くなった幻のDVDなんだから。」
兎白「俺たちはそれを手に入れるために残業も寝る間を惜しんで頑張って、ピンキーミルキーラビットのぬいぐるみの祭壇を再構築して、」
瑠璃人「再構築する意味は無いのでは……?」
桃時・兎白「馬鹿野郎!!!!」
瑠璃人「グハァッッッッ!何も殴らなくても!!」
兎白「俺たちのピンキーとミルキーへの愛を舐めるんじゃない!!新しく祭壇を作り直すことでピンキーとミルキーをもっと住みやすい環境に整える!!それぐらいのことぐらいしないとピンキーミルキーを裏切ることになるんだ!!」
桃時「アタシたちの愛を舐めないで!!」
橙「話の方向性がズレていってますよ」
瑠璃人「話の方向性っていうか神様としての方向性がズレてね?この神たち……」
桃時「とにかくすごく努力しても手に入れられなかったの!わかった?だからアタシたちはこの話に乗る!」
橙「は、はぁ……あっでも私はやりませんよ!」
瑠璃人「橙には天国産のみかん特別製防腐加工済み1年分」
橙「やりましょう」
桃時・兎白「おいおいおいおい」
雨花「話終わったのかな?みんなが行くならわたしも行くよ!今夜だよね。何時集合する?」
瑠璃人「よしじゃあ……」
こうして、瑠璃人に説得?をされて雫の家にお邪魔することになった。
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???「みんな集合してるか?」
???「バッチリです!!」
???「こんな真夜中にしなくても良いんじゃ……なんか怖いんですけど」
???「ちょっと。何でそんなやつ連れ込んでのよ」
???「えっついでに夜の散歩しようかなって」
雨花、橙、桃時、兎白、瑠璃人は雫の家より少し離れたところで集合していた。みんな時間通りに来た模様である。
桃時「フンコロガシなんて連れてったら匂いでバレるかもしれないじゃない!」
雨花「そういうと想ってちゃんとお風呂に入れといたよ!」
橙「どうして虫をお風呂に入れて、その虫は平気なんですか……」
雨花「※注意 小雨丸は特別な訓練を受けています。良い子も悪い子も飼ってる虫をお風呂に絶対に入れては行けません。」
兎白「誰に言ってるんだ?」
桃時「ていつかさっき橙も言ってたけど、どうしてこんな夜遅くなのよ」
瑠璃人「あぁそれは……」
瑠璃人が何故こんな真夜中を提案したのか。それは、雫は必ず深夜12時から朝方の4時まで万能神様に会いに行く。その時間を狙って行くことにしたのだった。
桃時「なるほどね。」
橙「でもどうして万能神様に会いに行くのでしょう?」
兎白「確かにな。万能神様なんてそう簡単に会いに行ける神様じゃないのに……」
雨花「…………うーん分からないなぁ。情報が足りなすぎ」
瑠璃人「とりあえず、雫さんがいないのは四時間しかない。行こう!」
こうして雨花一行は、雫の家に向かった。
瑠璃人「着いたな。当然の事ながら鍵がかかってるなぁ……」
兎白「この鍵結構強めの神通力がかかってて中々開けられないぞ」
桃時「えっ早速詰んだ?」
橙「雨花さん出来ますか?」
雨花「ちょっとやってみるね。」
雨花の手をかざすと濃い紫に黒が混じったバツ印の紋様が浮かび上がる。
ガチャ
雨花「…………開いたよ」
瑠璃人「ナイス!雨花!」
桃時「さっさと入りましょ!」
兎白「だな」
橙「本当に泥棒みたいですね……私たち……」
雨花「…………」
雨花は「(さっきの感触は……?)」と想っていた。
雨花たちは雫の家に行ったことがあるため、特に中に入って、家の中がミニマリストのような景観になっていることには特に驚かなかった。
桃時「特に変わったところはないわね。」
橙「いつも通りって感じですね」
中に入って何か隠されているものが無いか、秘密にしておきたいものなどが無いか、探してみたが特にみつからない。
雨花「…………」
橙「……?雨花さんどうかしましたか?」
雨花「ん?あぁ……別に大したことじゃないんだけど、お師匠様って昔からどこか重大な秘密所持者みたいな所があったからその秘密を隠すためにあえて秘密なんてないですよって相手に示すためにこんなに物が少ないのかなって。」
兎白「なるほどな。そもそも秘密があるなら物を沢山増やして少しでも怪しいところを隠そうとするかもしれしれないよな。」
瑠璃人「じゃあなら尚更雫さんの秘密探すの難しくね……?」
桃時「この家そこらじゅう雫さんの神通力やら妖術やらの気配がしてアタシたちの力じゃどうにも探れないわね……」
雨花「あっなら小雨丸に探してもらおうよ!」
橙・桃時・兎白・瑠璃人「え?・は?」
すると雨花は、小雨丸を虫かごから出した。
雨花「小雨丸!よろしくね?」
桃時「ちょっと!あんた何してんのよ。フンコロガシなんかに探せるわけないじゃない!アタシたちですらみつけれないのに」
雨花は「ちっちっち」と言いながら人差し指を左右に傾げる。
桃時「ちょっとウザイ」
雨花「小雨丸を侮ってはいけないよ。わたしの育て方は伊達じゃないんだから。ふっふっふ……」
桃時「フンコロガシなんかに何ができるって……」
橙「あっフンコロガシ動き始めましたよ!」
桃時「えっ!?」
兎白「なんか人間の手足が生えて動いてるな……」
瑠璃人「うわ、キm……じゃなくてすげぇ」
雨花「ちょっと小雨丸は繊細なんだよ!そんな目で見ないで!ていうか今誰か「キモイ」って言いかけなかった?!?!」
小雨丸はせっせっと雨花の指示に従うように雫の隠し事を探り出そうとしている。
そして、とうとう小雨丸は一輪挿しの花瓶が置いてある襖の棚の前で止まった。
橙「ここは……?」
桃時「本当にこの棚なの?」
兎白「開けてみるか。」
瑠璃人「そうっすね!」
瑠璃人が開けようとした瞬間、
瑠璃人「あばばばばばばばばば」
橙「瑠璃人さん!大丈夫ですか?!?!」
桃時「触ると電気が流れる神通力がかかってるわね。しかもこれ通常の神通力や妖術じゃ開けられないようにされてるわ……」
兎白「せっかくここまで来たんだけどな……」
雨花「大丈夫だよ。小雨丸お願い」
今度は襖の取っ手に小雨丸の手がかざされ、小さなフンコロガシの紋様と共に神通力が流れ込んでいた。
雨花「さっき桃時ちゃん「通常の神通力や妖術じゃ開けられないようにされてるわ」って言ってたでしょ?「通常」っていうのはここでは神や人間が使う神通力や妖術のこと。つまり、その者以外の神通力や妖術なら開けられる。」
桃時「!、確かにそうだわ!!」
橙「その考えはありませんでした……!」
兎白「フンコロガシに助けられるなんてどんな状況なんだ……笑」
瑠璃人「全くっすよ笑笑」
そしてとうとう鍵が開いた。
瑠璃人「よし、じゃあ開けるぜ」
桃時「えぇ」
橙「はい」
兎白「分かった」
雨花「うん」
そして棚を開けると、そこには……
橙「なんでしょうこれ……」
兎白「本……か?」
桃時「随分ふるびてるわね」
瑠璃人「何なんだこれ?」
雨花「…………?」
そこには、一冊の本のようなものが入っていた。
橙「開いてみますか?」
雨花「ちょっと待って。この本……いや多分日記だと思う。開かない方が良い気がする。」
瑠璃人「何で日記だってわかるんだ?」
雨花「この書物からは神様でも超一流の神様のみが使う特別な炭でできた墨汁の匂いがする。わたしも雫さんが使ったことがあるのをほんの少しだけ見たことがあったから分かった。」
兎白「あぁ俺も見たことがある。でも何故開けちゃいけないんだ?」
雨花「…………何かよく分からないけど、これを開けたらもう二度と取り返さないことが起こるような気がする……」
桃時「…………」
桃時「(雨花の勘はよく当たる。しかも悪いことが起こる時に限って。ここは引き下がった方が良いかもしれないわね。)」
ガタン
雨花・橙・桃時・兎白・瑠璃人「!」
誰かが雫の家に入ってくる音がした。
兎白「この気配は雫さん!」
瑠璃人「どうしてだ!?この時間に帰ってくるなんてありえない!」
桃時「まずいわね」
橙「どうします?雨花さん」
雨花「…………」
雨花は少しの間考えると、
雨花「小雨丸に頼ろう。」
桃時「あんた今ふざけてる場合じゃ……」
雨花「いやいや大真面目だよ。さっきも言ったようにお師匠様の家の中はわたしたちが使える神通力も妖術も限られてる。さっき何で家の鍵を開けられたか、それは開けても開けれなくてもお師匠様は困らないから。開けられなかったらそれに越したことはないし、開けられたら不法侵入者がいるってわかる。わたしたちは最初から完全にほぼ詰んだ状態だったんだよ。」
「だからね、」と雨花は話を続ける。
雨花「小雨丸はフンコロガシ。フンコロガシの神通力ならお師匠様も警戒してないから瞬間移動できる。」
橙「なるほど!フn……いえ、小雨丸さん大助かりじゃないですか!!」
桃時「あんたもしかしてこうなることを読んで連れてきたんじゃ……?」
雨花「いや本当に考えてなかったよ?本気で夜の散歩のつもりだった。」
兎白「とにかくもう時間が無い。早く瞬間移動するぞ」
瑠璃人「じゃあ行きましょう!」
こうして、あと一歩遅ければ雫にみつかるというタイミングで雨花達は何とか無事に瞬間移動して帰ってこれた。
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瑠璃人「結局何も分からなかったなぁ」
橙「あの手記に何か大切なことが書いてあるのは分かったんですけどね……」
桃時「一瞬ホラゲーかと思うぐらい恐かった……」
兎白「俺はなんだかんだ面白かったし、それに……」
「「「「小雨丸がめちゃくちゃ頼りになっ た!!!!」」」」
雨花「ドヤさァ!」
兎白「なぁどんな訓練すればあんなに頼れるフンコロガシになれるんだ?」
雨花「うーん育て方とすれば、食べ物が違うことぐらいかな?」
橙「食べ物って糞ですよね……?」
雨花「そうだよ!」
瑠璃人「どんなもの食わせてるんだ?」
雨花「別に特別なものじゃないよ。海外から取り寄せたユニコーンのうんこと不死鳥のうんこにわたしの神通力と妖術をほんの少しだけ入れたやつ!」
「「充分すぎるくらい特別ですよ・じゃない・じゃないか・だぞ!!!!」」
橙「ユニコーンと不死鳥の糞なんでそう簡単に手に入れませんよ!どうやって手に入れてるんですか!」」
雨花「あぁそれは半年に一回西洋の彼岸から何でも屋って言われる店があってそれが出張に来るんだよ。そこから仕入れてる!」
桃時「あんな胡散臭いで有名なところからよくホイホイ買い物できるわね」
兎白「あの何でも屋結構グレーゾーンで商売してるで有名だって俺たち死神組の中でも有名なんだ。気をつけろよ?」
瑠璃人「へぇそうなんすね!知らなかった!」
兎白「お前……会議に遅刻はしないくせに肝心な会議の内容は覚えてられないのか……はぁ」
雨花は、笑いながら「(結局あの手記は何だったんだろう)」と考えを馳せていたのだった。
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