武将カード外伝

第4話

　山名宗全: 室町時代の有力な大名で、特に戦国時代初期の争乱に関わった人物です。宗全は、応仁の乱における山名家の指導者として知られ、政治的な力を持つ一方で、その後の家族内での対立や権力闘争の中で重要な役割を果たしました。

　細川勝元: 細川家の当主で、応仁の乱の際に足利将軍家の支持を受けた人物です。細川勝元は、戦乱の最中に政治的手腕を発揮し、室町幕府内での影響力を持ちました。

「力のカード」や「風のカード」がこれらの人物に関連している場合、これらはおそらく、彼らが持つ特性や戦いにおける象徴的な役割を表現しているのでしょう。たとえば：

　山名宗全が「力のカード」: 宗全の権力や戦闘における影響力を象徴しているのかもしれません。彼は一時的に強い軍事力を持ちましたが、後の家族内での内乱などでその力を失うことになります。

　細川勝元が「風のカード」: 勝元は政治的な策略や調整能力に長けており、その柔軟な外交手腕や勢力の動きに例えて「風」というイメージが使われているのかもしれません。

　部屋の中には、8人の人物が縛られて一列に並んでいる。窓のない地下室には冷たい空気が漂い、足元には不安定に点けられたランプがひときわ不気味に光っている。各々が驚きと恐怖の入り混じった表情を浮かべているが、その中で唯一冷静を装う者もいる。皆、なぜ自分がここにいるのか、どうしてこんな状況になったのかを理解しきれずにいる。

　蟇田は部屋の端で静かに立っていた。手に持っているのは一枚のカード、「日野富子のカード」だ。彼の目はそのカードに焼き付けられており、周囲の騒がしい音や助けを求める声には耳を貸さない。目の前にいるのは、かつて自分に害を与えた者たち—それぞれが蟇田の過去に深く関わる者たちだ。

　蟇田の視線が冷徹に一人一人を辿る。

　まず目を留めたのは、犬塚彰。かつて蟇田が会社で苦しんでいた時、彼の上司としてパワハラを繰り返していた男だ。目には冷や汗がにじみ、顔色は蒼白。しかし、目の前に立つ蟇田の存在に怯えていることを隠すことはできない。

　次に視線を向けたのは、犬飼一郎。かつて会社で共に働いていたが、蟇田を切り捨てた冷徹な社長だ。彼の顔には不安と驚きが交錯しているが、どこか恐れを感じさせない挑戦的な態度が見え隠れする。

　犬川右京は、悪徳介護理事として数多くの高齢者を不正に扱い、利益を追求していた。彼の目には、怒りと恐れの入り混じった感情が見える。蟇田に捕らえられ、今その罠に嵌まったことを痛感している。

　犬山英介は、表向きはマッチングアプリの経営者だが、実際は詐欺師。無表情に座っているが、その目はどこか焦燥感を漂わせている。自分の「ビジネス」が暴かれ、今ここで人生を終えるのではないかという恐怖を感じている。

　犬田隆弘は、蟇田の同級生であり、かつてはヤクザとして彼を虐めていた男だ。彼の手にはヤクザ特有のタトゥーが見え、冷徹な眼差しを向けていたが、今その表情はすっかり困惑と絶望に変わっている。

　犬坂慶子は、蟇田の元カノで、彼との過去を持つ。今は涙を流し、どうしてこんな目にあっているのか理解できずにいる。彼女の心の中で蟇田への怒りと愛情が入り混じっていることが、顔からはっきりと読み取れる。

　犬村欧介は、悪徳刑事であり、蟇田に無実の罪を着せて追い込んだ人物。今、彼は冷汗をかきながらも、どこか他人事のように振舞おうとしているが、目の前に立つ蟇田に対しては、どうしても焦りを隠せない。

　そして最後に、犬江勝弘—蟇田の母親を誤診して死に追いやったクズ医者。彼は苦しみながらも、蟇田に対する罪悪感と恐怖を全く隠すことができず、顔を歪めている。

　蟇田は無言でそのカードをひらりと掲げる。

「日野富子のカード…これがあれば、すべてが手に入る」

　彼は低く呟き、次に目を向けた。

「あなたたちが人質となることで、私の願いが叶う。さあ、どうする？」

　蟇田の声は冷徹で、どこか遠くから響いてくるようだった。誰もが反応できずに、ただ静かな沈黙が支配する。監禁された者たちの恐怖が、部屋の中に重く漂う。

　犬塚彰が一歩前に出て、震える声で口を開く。

「お前…お前、いったい何を考えているんだ！ こんなこと…」

　その言葉が終わらないうちに、蟇田の冷ややかな目が犬塚を射抜いた。

「黙れ。全てが終わるのはお前たちの命が俺の手にかかってからだ」

　部屋の中の温度が一層低く、圧倒的な緊張が辺りを支配する。8人の悪人たちの運命は、今、蟇田の手の中にある。

　蟇田は冥界に堕ちた後の出来事を思い出していた。