第6話 『間引き開始』
〔王国歴377年
さて、今日から軽めとはいえ、いよいよ討伐活動を開始する。
この村には「討伐士組合」が未だ無いから(少なくとも住民数が1000人を超えて町になるか、何らかな特別な理由が無いとやって来ない)、自分たちの自由で討伐方針を決められるのは助かる。
まあ、その分討伐士の等級は上がらないんだが。
一応、馬車で丸一日掛かる隣町の討伐士組合で依頼達成報告や討伐成果を提出すれば等級判定に反映されるが、その為に往復2日間を浪費するのはさすがに非効率過ぎる。
取り敢えず、ダメもとで数ヵ月に1度、まとめて書類を出す予定だ。
それと、未公開のダンジョンは資源型になる様にエレムが誘導したから、放置したとしても溢れる事は1年先まで無いし、グスタフソン騎士爵が公表してから潜る事になるだろう。
あと、俺としては死蔵している「
恩寵を貰った後、スケルトンと遭遇しなかったし、むしろ剣術と魔法と討伐にかかりっきりで、全く手付かずで放置しているから、どんな能力かは今一ハッキリとしない。
一応は見付けた資料に一通り目を通したが、結論としてはこれだけしか恩寵を持っていなければ討伐士として活躍は無理だろうな、というものだった。
とにかくスケルトン種のほとんどを占める普通のスケルトンは能力が低過ぎて弱い。
正直なところ8級相当の
防御面で言っても、只の野生の
ただ、スケルトンでも要注意な存在が2種類ほど居る。
ごく稀に出るという7級相当の
信憑性の有る資料は見付からなかったが、6級相当の
コイツは鎧まで装備していて、中堅クラスでも下の方の討伐士では苦戦するらしい。
え、コイツをテイムすれば安泰だって?
「
そう、7級相当の
まあ、「百聞は一見に如かず」だ。
まずはスケルトンを確保してから研究を始める予定だ。
それと、もう1つの恩寵も問題だ。
恩寵の「再現」だが、使いたくとも使えない状態が続いている。
何かが足りないのだが、何が足りたいのかが分からない。
きっと条件が有る筈なんだが、それが分からずに1年が過ぎた。
ただ、使える様になったら、かなり便利な恩寵になる予感だけはしている。
中央の広場に着くと行商人たちが出立の準備をしていた。
復路の護衛は騎乗したグスタフソン騎士爵と従士のヨハン氏が行う予定だ。
まあ、往路を考えれば護衛を付けなくても大丈夫かもしれないが、グスタフソン騎士爵も王都に送る公文書を出す為に隣町に在る中央行政機関の出張所まで行く必要が有るらしい。
これまでも行商人が来る度にそうしているそうだ。
さすが辺境と言うか、グスタフソン騎士爵も大変だな。
「おはようございます、もう出立するのですか?」
「ああ、この時間に出れば本日中に公文書を提出出来るからな」
「道中ご無事で、お早いお戻りになる事をお祈り致します」
「ああ、無事に帰れる様に気を付けよう。話は変わるが今日から討伐活動を始めるのか?」
「ええ。まずは北側の林を軽く撫でてみます」
「年齢に見合わず、ベテラン並みの慎重さだな」
「よく、年寄くさいと言われます」
俺の言葉を聞いて、グスタフソン騎士爵がアルマとエッサの方を見た。
俺も2人を見たが、エアー口笛を吹いていやがった。
「まあ、その方が大成するさ。ではな」
そう言って、グスタフソン騎士爵は商隊の方に戻って行った。
「さあ、今日から仕事始めだ。初日だからあくまでも地形の確認を最優先にしよう」
「了解」
「そうだな、年寄坊主」
ぐ、言い返したいが女性に年齢絡みの言葉は禁物だ。
俺はそんな禁忌を知っている子供だからな。
危険を避ける術を知っている、とも言うがな。
夕方前には戻ったが、10級の野獣と8級までの
明日は危険度が1ランク上の西側の森を調査しよう。
2024-11-26公開
お読み頂き、誠に有難う御座います。
第7話『恩寵「再現」』は2024-11-27(水)~31(土)に投稿予定です。
これからも週に2話程度の頻度で(休みごとに書き上げて)投稿する予定です(評価が芳しくなければ頻度が落ちますのでご理解とご協力を賜わります様に伏してお願い申し上げ候)。
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