休み
一年生の特別試験の最中に起きた大騒動。
試験の途中にその想定とは違う大量の魔物が流入するばかりか、僕だけじゃなくてうちのクラスの担任でもあるティナ・カイザーの前にも立っていた僕が苦戦させられたインセントと同じ相手。
最強格でもあるティナでさえ、あのイノセントと同類の種族を前に苦戦させられ、仕留め切れもしなかったらしい。
あのゲームで無双し続けたティナでも!?という僕の驚き。
そして、その驚きはこの国に住む者であれば、全員が持つようなものだ。
こんな事態を受け、当然、学校は一度、休校となった。
「……うぅむ」
何時復帰するかもわからない学校。
突然できてしまった暇な時間。
「思ったよりも成長できないな」
その時間を使い、僕は最近覚えたばかりの武装内骸の訓練を行っていた。
「うにゃぁー」
武装内骸。
パッとやるのは割と楽勝だったんだけど……これの神髄は自分の体内で魔力の糸による服を作ること。
今の僕のレベルとしては布を作れるレベルで、服を作るまでには言っていない。
ここから更に着込んで強くしたり……なんて話はかなり遠そうだった。
「はぁー」
とはいえ、この魔力操作に関しては一長一短のものじゃない。
地道に頑張るしかない……かな。
それにしても、完全なる失敗だった。
魔力操作じゃなく、魔法の種類を増やすことに注力したのは。最初から魔力操作の方に力を入れていれば、もっとうまく行っていた。
もっと強くなれていた。
その後悔は大きい……。
「……次、戦った時には絶対勝てるようにしないとな」
とはいえ、落ち込んでいるような暇はないけど。
「結局、わからず仕舞いだしな」
イノセント。
あれらが何であるのか……それを僕は全然知らない。
あいつらは本当に始めて見るような敵だった。ゲームでさえも見たことないような本当の初見の相手だ。
「……あのレベルが何十体といたら、もうそれで終わりな気がするんだけど」
一体しかいないと思ったいたら、もう一体いた。
それに、先生の方には自分たちが一つの種族であるという風に自己紹介していたらしい。だとするなら、ちゃんと数がいて然るべきだと思っちゃうんだよな。
「何者なのかねぇ……」
もしかしたら、お姉ちゃんが悪役令嬢……ここを何とかすれば、もうこの世界で生きていくのは楽勝。なんて思っていた自分の考えが甘かった、っていうことになってしまいそうだ。
「輝夜……?」
「んっ?」
なんて考え事をしていた中で、自分の部屋の扉が開かれ、そっと顔を出してきたお姉ちゃんがこちらの方に声をかけてくる。
「夜ごはんはまだかなぁ……って思うんだけど、どうかな?」
「あっ、うん!今、行く!」
自分の方に告げられたお姉ちゃんの言葉。
それを受け、僕は一旦思考を放棄し、立ち上がるのだった。
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