ダンジョンの入口で【ロス】

よし、入るんだ。

「マッドハウス」になることは怖くない。

ダンジョンには親に何回も潜らされた事がある。

カードを作れるのは12歳から。カードを持っていないとダンジョンには入れない。だけど、親が管理者さんに理由を話して許可を得ていつも入ってた。

やっと今日で12歳。すぐにカードを作れと言われた。



「――にどの辺りから攻略していくのですの?」

「んー、メリアさんは初めてなので簡単な低階層からですかね。高階層は危ないですし。」

わたくしはそこまで弱くないですわ!!あら!」


さっき隣だった人だ……

パーティーを組んだのか。確かに職員さんとなら危なくないもんな……


「ねぇ、貴方、さっき隣にいらっしゃったわね!組む人がいないのですか?」

「あ、え、はい。」

「なら僕らと一緒に組みますか?初めて潜るならサポートしますよ!」

「いいんですか!?お願いします!!グラジオラスと言います、『ロス』と呼んでください!」


初めて、では無いけれど「マッドハウス」になったら心強い味方になってくれそうだから、嘘ついてもいいよね?



「では、ダンジョンに入る時は番人の方にカードを見せます。」

「「はい」」

「ラークじゃないか!今日は仲間と?」

「ええ、説明会であった方々なんですよ〜」

「審査のシフト後に説明会か?大変だなぁ」

「いえいえ、可愛い妹のためですから」

「そしたら、二人のカード預かるね……って12歳!?」


あ、年齢はやっぱ引っかかるんだ。


「「12歳!?」」

「『魔族』で『盗賊』……本当なのかい?」


やっちゃったなぁ……


「あ、はい……、色々あってダンジョンに入りたいんですよね〜」


色々ってなんだよ!?色々って!!

完全に怪しまれる……


「まあ、実験のためにダンジョンに入り浸る人間野郎もいることだし、事情なんて当たり前だなw」


いや、そんなやついんの?人間こわ。


「そうですわね、私も閉鎖現象には興味がありますもの」

「決して自分から起こすなよ〜」

「そんなの当たり前ですわ!」


この人って、めっちゃフラグみたいな言い方するんだな……


「なら良かったw

えーと、獣人・人間・魔族それぞれ1人。盗賊2人と魔法使いが1人な?」

「ああ、この後も頑張ってくださいね、シャクナ」

「ありがとよ、気を付けて」




+++


「あらら、ここ罠がありますわね。」

「なんで分かるんですか!?」

「魔法の痕跡があるものですから自然に……」


魔法使いって魔族からするとかなり厄介な敵かも。


「……ラ、ラーク、さんも分かるんですか?」

「あ、こんにちは。

メリアさんとロスさん!宝箱見つけましたよー!」

「あっ、え……」

「そう気を落とさないでくださいませ。

ロスさんも盗賊ですからきっと見つけられるはずですわ。」


オドオドしていたら励まされてしまった。


「そんなにあちこち探索してて大丈夫なんですか?さっき挨拶してましたよね?キラーとかに殺されるとかないんですか……?」

冒険者プレイヤーは仲間ですからね、先程の方は魔族だったかと思いますよ。あとキラーはそうそういないから怯えなくていいと思いますよ。今までの犯人たちは1人の人をよく狙うようですし。」

「なら、僕は絶対に殺されることはないですね。一緒に行動してますし……」


絶対に無い。


「私達3人でいれば怖いもの無しですわね!!!」

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