ダンジョンの会議室で【メリア】

なんでこのわたくしが待たなくてはなりませんの!

早く父上に認めてもらうためにわざわざここまでおもむいたというのに!!

ここはダンジョンのなかの会議室。

部屋には30人弱の方々がいらっしゃり、ホワイトボードには――


「『初心者説明会!〜初めてのダンジョン編〜』……?」



なんでですの。

新規プレイヤーはこの説明会に出なくてはならないのはわかりますけれど至極退屈。


「――くに危険なのは『マッドハウス』現象です。」


マッドハウス現象……

とても怖そうな名前をなさっているのですね。私には関係ないですけれど。



「こちらは、ダンジョン内部で『プレイヤーがプレイヤーにより殺害される』『周囲150メートル以内に生存プレイヤーが3人以上居る』という条件が起こる閉鎖現象です。『制限時間の経過』、『プレイヤー殺しキラーの特定』もしくは『プレイヤーキラー以外の生存者全滅』によってのみ解除されます。前2つの解除条件ではキラー以外が、最後の条件ではキラーが、多大な報酬を手にできます。」



報酬、ですか。

興味はないですが「危険」と言われると興味をもつのが人間のさがというものですものね、その現象少し気になりますわね。



「最後にですが、攻略には多くの人が来ています。部屋を見ればお分かりいただけるように、『人間』『獣人族』『魔族』といったこの世界にいる種族の全てがいます。また、『戦士』『盗賊』『魔法使い』という1人1人の役職もです。」


私達の人間は、他の種族とは違い「手先が器用」「全ての道具が使える」という特徴がありますものね。隣に座られている方は魔族の子でしょうか……?


「攻略のコツとしては、4,5人で仲間パーティーを組むことをオススメします。

それではこれで説明会は終了です。質問のある方は後で僕に声をかけてくださいね」


魔法使いですし、所詮しょせん私は「魔法・魔具の使用痕跡鑑定」しかできないので、戦闘向きではない……

これでは開始早々にスライムにでも殺られてしまいますわね。


「あ、あの。先生?私、ダンジョンは初めてなんですの。種族と役職の説明をしっかり教えていただきたくて……」

「はい!構わないですよ、こちらの冊子を見ていただいて――」


渡された冊子には人種、役職、マッドハウスについて書かれていました。


「まず、種族の特徴から。

①人間。知っていると思いますが、『手先が器用』『全ての道具が使用可能』ですね。

②獣人族。僕もです。『ニオイに敏感』『身体能力に優れる』こと。

③魔族。『感情の機微に敏感』『魔法戦に優れる』ことが特徴です。


次に役職

①戦士。

「武器の知識が豊富」「死体の傷からなんの武器で殺傷されたのかを識別可能。」これはプレイヤーキラーが何で殺傷したか見極めるのに有利です。

②盗賊。

『アイテムを一つ他プレイヤーから隠せる』『隠し場所を見つけることが可能』です。僕も盗賊ですが、ほんとにこれだけなんですよ〜

③魔法使い――」


「それなら私にもわかりますわ!なんて言っても魔法使いですもの!

『魔法を使用した痕跡の特定』『魔法に関わる道具の使用も確認可能』ですわね!」

「そうです。仲間パーティーを組むときにぜひ参考にしてみてください!」


……仲間パーティー


「……あの!!私と組んでいただけませんか!?」

「いいですよ」


案外あっさりと!!


「私の名前はアルスト・ロメリアと申します!『メリア』と呼んでくださいな」

「ラーク・スパーといいます、ラークで結構です。よろしくおねがいしますね!メリアさん!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る