世界樹の内で

ゆ〜 @WGS所属

ギルド本部

「ようこそギルド本部へ。冒険者プレイヤー登録でよろしいですか。」

「はい」

「種族(人間・獣人族・魔族)と役職(戦士・盗賊・魔法使い)を選択してください。」


機械の無機質な声で応答してくれる。

それもそのはずこのギルドは人がほぼいない。


「『獣人族』『盗賊』でよろしいですか。」

「ああ」

「虚偽の申告ではないかの確認のため、実技を行います。4番の部屋へどうぞ。」

「お前も大変だな。毎日数百、数千人と相手をするんだろ?」


毎日あちこちで大小のダンジョンが発生するため、混乱や詐称をさせないためにもでしか冒険者プレイヤー登録はできないのだ。


「……タップして登録を開始してください」

「ねぇ!早くしてくれない!?後ろ待ってんだけど!!」


なんともやかましいお嬢さんだなぁ。

そう思いつつも案内された番号の部屋の前へ立つ。


「ふぅー……。行くぞ。」



+++



ホールランド。

この世界はダンジョンの世界。

この世界の中央にそびえる一本の大木がといわれている。

世界樹迷宮があることで、大小のダンジョンが今もなお各地に発生し続けており、ダンジョンは小さいものでもガッポガッポ金が稼げる。

だから冒険者プレイヤーは一攫千金を夢見て、周りの大多数はそれにあやかって生計を立てている。

世界樹迷宮様々って訳だ。


「……これで実技は終了です!こちらがカードとなっています!」


実技試験は同じ種族、同じ役職のやつが特徴を確認して審査する。


「おう、ありがとな」

「ダンジョンは危険なので気をつけてくださいね。特に『』には。」

「『マッドハウス』?」

「はい、ダンジョン内で起こる閉鎖現象のことです。」


閉鎖ぁ?


「①そこがダンジョン内部である事。

②プレイヤーがプレイヤーにより殺害されること。

③周囲150メートル以内に生存プレイヤーが三人以上居ること。

という3つの条件が揃ったときに起こり――あ、別の人来ちゃう。」

「お、おう。済まなかった。またどっかで会えたら仲良くな」

「確率はほぼないですが、僕もプレイヤーですので」

「お互いの武運を祈って」



簡単な実技だったな。

これなら本職じゃなくても審査を突破できそうだが、そんな奴はいるまい。

獣人で盗賊の俺は「嗅覚」「身体能力」「物を隠す・見つける」という特徴の試験を受けた。


「他の種族や役職はどんな試験なのだろう……」

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