第5話 どんな僕でも

――――――――――――。


「…凌太。」

「ぁあ?」

「久しぶり。」

「……」

「なにびっくりしてんの。僕だよ。翔だよ。」

「わかるよ。」


久しぶりに見る翔に驚いていると、

公園のベンチで寝転んだままの僕に翔がキスしてきた。



――――――明確に夢だとわかっていた。


だから…起き上がって襲いかかった。


でも翔は微笑んでいた。


そうだな。きっと翔はどんな時でも僕の行動は大体予想がつく。


――――――――――――「翔…。」


直後、目を覚ますと安心した顔して眠りについている翔が隣に居た。


「かけ…お前はいつでも完璧だな。」


―――――――――――――――。


「…凌太、本当はこっちの僕がいいんじゃない?」


――――――――――――気付いたら夢の続きにいた。


翔がベットの上で僕の腕を押さえつけて馬乗りになっていた。


遠い記憶のような懐かしい香りがした。



「かけ…今のお前にそれされたい。」

「…縛って思い切り鞭で打ってあげようか?」

だな…」

「いつでもおいで?くすぶらせてないでさ。」

「どうやったらまた会える?」

「いつだって会えるよ。」

「……。」

「大丈夫。今の僕も僕だから。全部僕だよ。」

「甘いな…本当にお前は甘いな。」

「甘いでしょ?」

「甘い。ずっとお前といたい。」

「…全部僕だよ。」



翔は僕を見てもう一度キスした。


「どんな僕も僕だから。」

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