第3話 憧れ
「……」
ある日の朝食。
いつものように翔の口についたご飯粒を取って食べていると、
「あ、ごめん」
といつもの様に翔が謝る。
ほんとにこいつは小さい時から変わらない。
基本なんかぼーっとしててふわふわしてて可愛くて、、、。
そんなこんなで食べ進めて、お互いが仕事に行く支度をする。
翔は職場では結構上の方で化粧品会社に居る。
だからいくら女性らしくても、化粧してても何も言われない。扱ってる商品を自分で試す、普通の行動。
でもまたこれが、綺麗に仕上がる。
元がいいのもあるけど、本当に…綺麗。
たまに見とれてぼーっとしてると、キスされる。
そして、「あんたのせいでまたリップ塗り直さなきゃいけないじゃん」と言い、洗面所に行く。
支度を済ませて2人で家を出て同じ電車に乗る。
今までは別々の時間だったが今は一緒に乗る。
そして必ず翔の後ろに立つ。
じゃないと痴漢にあうから。
当然俺じゃない。翔が本当によく触られる。
実際、脱ぐか勃つかしないと仕事の時は完全に『女』。
トイレも仕事の時は女性へ。
プライベートはその時によりけり。
たまに出先で並んでする事もあるが違和感しかない。
その時はちらっと横を除く。
すると、
「見るな。縮むだろ」と舌っ足らずな甘えた声で言ってくる。
だから「いいだろ、少しくらい」と返すと、
「物足りなくなっても知らないぞ」と言ってくる。
そしてちらっと僕の顔を見ると、
「赤くなってる。可愛いな。」と笑われる。
こういうカメレオンみたいなこいつがたまらなく好き。
そんな感じで日々過ごしているが、
僕の中で一つ目標を立てていた。
翔がなんて言うかはわからない。
でも形が欲しかった。
また話しは戻るが普段、職場へ向かう時は先に翔が降りる。
僕はしばらくあいつを見ながらホームから離れる電車を憎みながら会社へ向かう。
そして一日が始まり、昼になると翔が作ってくれた弁当を食べる。
2人で生活し始める少し前にもこういうことがあってよく女性社員にからかわれていた。
また最近毎日の様にもってくるようになると、
『同棲ですか?』『そろそろですか?』とまたいじられる。
僕も仲が悪くなるのは嫌なので、
『だといいんですけどなかなかねー。踏み切れなくて』なんて誤魔化していた。
でも確かに僕のなかで
憧れはおおきくなっていった。
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