第31話 秘境祭開幕
???視点
「王よ、私に何用でしょうか?」
私は、王に跪き頭を下げながら自身が呼ばれた理由を聞く。
「うむ、我が国の諜報員であるそなたに頼みがある」
「はっ!何用にもお使いください」
私の返事を聞くと、王は少し溜息を吐き、口を開いた。
「森羅の森に街が出来たらしい」
私は王の言葉に驚く。
何故なら森羅の森は様々な国が欲する場所であるが為、不可侵条約がなされた唯一何処の国にも属さない場所だからだ。
故に街等出来るはずがない。
もしも、仮定の話だが、街が出来ているのであれば条約違反となり、条約に参加してる国々がその違反した国に侵攻するほど…それほどあの森は我々にとって重要であり、触れづらい物なのだ。
「しかし、どの国も街を興していないと言ってな、謎に包まれておるのだ。
故に、諜報員であるそなたに街の調査を頼みたい。
出来るか?」
王の言葉に頷き口を開く。
「はっ!森羅の森の街への調査、承りました」
私はそれだけを言って、玉座の間から出て、準備を済ますと街へ向かって馬を駆けた。
ミロク視点
「ようこそ!秘境祭へ!
この3日間、是非とも我が町でお楽しみください!」
俺はいつの間にか街の中心に作られていた、高い塔からそう宣言すると、街へと入ってくる人々を見る。
彼らは俺が屋台のように作った場所に行き、そこに置かれた様々な料理を口にする
「おいおい、なんだよこの美味さは!!」
「この寿司というものは最高だな!」
「いやいや、丼ってやつも美味いぞ!」
「あら、このたこ焼きというものも美味しいですわ」
見た限り、料理は盛況のようで、胸を撫で下ろす。
「目的の商人が来てれば良いけど」
俺は、今回の祭りの本来の目的である、人脈を豊富に持つ商人を探していた。
「…見つけた」
俺は、料理を出している場所で驚きつつもはしゃいでいる美人な商人らしき人物を見つける。
「さてと、どう接触しようか。
…よし、普通に話しかけて見るか」
俺は、座っていた塔の窓から飛び降りると、目的の商人の元に降り立った。
「やぁ商人さん。少し話をしてもいいかな?」
俺がそう言うと、動揺しつつも頷いているのを見て、俺の屋敷にある応接室に案内した。
「改めて、初めまして。
俺は、この街の主をしてるミロクだ。
角や尻尾を見ての通り種族は竜だ」
応接室に案内すると、俺から挨拶を始めた。
俺の種族を知ると目を見開くが、表情を戻し挨拶をする為に商人は頭を下げる。
「私はフリーダム王国を拠点にしてる華月商会っていうまぁまぁ大きい商会の会長をしてるキアラってもんだ。
よろしくなミロクさん」
少し男勝りな黒髪のショートヘアの筋肉質な美人のキアラさんは、そう言ってソファに腰掛ける。
「そんで、話ってのはなんなんだい?」
キアラさんに本題を聞かれた俺は、今回の目的を隠しながら話し始める。
「今回の出し物の飯はどう思った?」
「ああっ!!ありゃあ売れるな。
食べた事のねぇもんだし、そんだけでも注目を集める。
それに食ってもうめぇ!
販売すりゃあ、1ヶ月で100万食は売れるだろうさ」
キアラさんからの評価を嬉しく思いながら、俺はキアラさんに提案をする。
「俺は、人脈と金が欲しくてさ、今日出した料理見たいな売れそうなアイデアは持ってるんだけど、それを広めてくれるツテが無いんだ。
そこで、商人という人達の存在が出てくる」
「あぁ…なるほどな」
俺の言葉にキアラさんがニヤリと笑みを浮かべる。
「あの料理も他の後日出される出し物を私に広めて欲しいってこったな」
「あぁ、頼めるか?」
俺の意図を読んだキアラさんの言葉に、同意すると、キアラさんは考えるように顎に手を置く。
「そうだな…残り2日を見て決めてもいいか?」
「あぁ、好きに見ていってくれ。
2日目は音楽をやって、3日目は演劇をするんだ」
俺は家キアラの提案を受け入れて、演劇が終わったあとにまたこの応接室で会うことを約束すると、キアラが客室に滞在出来るようにして、秘境祭は好評のまま1日目を終えた。
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