第30話 祭りの準備
俺は、祭りが始まる前に料理を作る為にその料理の食材を集める為にある場所に向かっていた。
今回集めるのは、寿司の為の米と酢と魚だ。
「にしても、米は鬼達が昔から集落で育てているから心配なしなんだけど、酢ってあるの?
それに、魚はどんな味?」
《酢…という物は分かりませんね。
魚に関してもマスターの居た世界と同じかは分かりません》
俺は、イズの言葉に『だよな〜』と呟きながら海に着くまで飛んでいた。
俺達の街のある森を超え、カグツチ達の集落があったという草原を超えると、海と浜辺が見えてきた。
「あっ、ていうか、酢に関しては
よし、あとは魚だけ〜」
俺は、そう言うと人の姿になり海の中へと走っていく。
《マスター!?何をするおつもりですか!!》
「なにって?見てりゃ分かる!」
イズにそれだけ言うと、俺は波が来るあたりまで走ると、ジャンプする事で海の中に飛び込む。
《マスター!!》
イズが心配するような叫びを上げるが、俺は気持ちよさそうな笑顔を浮かべて浮き上がって来る。
「あははっ!!やっぱ海って楽しーー!!」
俺は笑って泳ぎながら、今度カグツチ達と来ようと思うと、ここに来た目的を思い出した。
「そうだったそうだった。
魚を探しに来たんだったな」
俺は、それだけ言うと、周辺に魚が居るかを探す。
見当たる所に居る魚を素手で掴み、
そして、姿の違う魚を見かける度それを繰り返す事5時間。
「っし、たんまりゲットだな。
一旦帰って味を確かめるか」
海から上がると俺は竜の姿になり街に戻ると、人の姿に戻り自宅のキッチンに入る。
「さてと、まずはこいつを食ってみるか」
俺は大きさはマグロと同じだが、色が赤色で見た目が完璧にサメの魚を台所に置く。
その魚を捌き、刺身にしてみる。
「そんじゃあ、
俺がそう言いながら醤油を作り出す。
《それは?》
「まぁまぁ見てろって!
これをな?こうすんだよ」
俺は小鉢に入れた醤油に赤色の刺身を付けて口に運ぶ。
「くぅぅぅっ!!美味すぎる!!これは、完璧にマグロだろ!」
俺は、マグロだと分かったその刺身を1枚、また1枚と食べていく。
《マスター、私も欲しいです》
イズのそんな言葉に、確かにこの世界の意見を聞きたいと思い、俺はイズと入れ替わる。
その為黒髪が白髪になり黒色のリボンでポニーテールになると、赤色の目が金色に変わり性別が女に変わった。
「…あむ」
イズが刺身に醤油を付けて食べる。
「…ふぁ、美味しい」
刺身を食べたイズは、遠い目をしながらそんな事を呟き顔を赤くする。
《なんか、見せちゃいけない顔な気がするんだが…いやこれ普通の刺身だよね?》
俺はそんなふうにイズの反応に困惑しながら、イズと交代することで見た目が元に戻ると他の魚も試すことにした。
「ふぅ、見た目は違っても刺身の色と味は同じだな」
俺はそう言いながら、刺身となった魚達を見る。
「とりあえず存在を確認したのが、マグロ、サーモン、エビ、イカ、タコ、タイの6種だったな。
…てか、イカとタコとエビに関してはそんなに見た目が変わってなかったな」
俺はそう言いながら何を寿司に使うかを考え始めた。
「寿司に使うのは、マグロとサーモンとタイとイカの4種にするか。
エビはエビフライにして丼にするか。
タコはたこ焼きだな」
俺はそう言ってどの料理に使うかで、魚を分けると、寿司に使う魚を刺身に変えると、
寿司が5000個ほど出来ると、俺はそれを保存する方法を考えた。
「最後に他の料理もだけど、料理を入れる為の箱を作っとこ」
俺はそう言うと、
その中に刺身を入れると、暖かい食べ物も冷たい食べ物も温度が一切変わらず、いつでも作り立てで食べる事が出来るようになった。
「よしっ、寿司はこれでいいだろ、次に行くか」
俺は、寿司の入った箱に寿司と書いて再び食材を取りに外に向かうのだった。
俺が外を歩いていると、エビフライの時を思い出した。
「よし、2つ目の料理は丼にしよう!
そうだな、天丼とカツ丼と親子丼の3つを作ってみるか」
3つの料理の食材を取りに行く為に再び歩き出す。
「まずは天丼だが…エビフライとナスのフライとさつまいものフライの3つが乗ったものにするか」
俺はそう呟き、街になる時に広くなった畑に来た。
「…野菜だけはそのまんまの見た目なんだよな」
俺はそう言いながら、目的の野菜を承諾を得て収穫する。
「野菜をとりあえず家に置きに行って次の食材を持ってくるか」
俺は家に戻るとキッチンに野菜を置き、街から出る為に竜の姿で走る。
「次はカツ丼の材料だな。
豚肉と卵を探さないとな」
そう呟きながら森の中を探す。
森の中を歩いていると、魔物のイービルピッグが現れた。
「真っ黒なオーラは無いし、普通の魔物だな」
俺は、主とやらが作った魔物じゃない事を確認すると、イービルピッグを殺して回収する。
「よし、次は卵なんだが…この世界にあるのか?」
俺は森を歩きながら食べれそうな卵を探す。
《マスター。あそこに居るゴールドコッコは、肉も美味しく産む卵も美味しいと言われるレアな魔物として、冒険者の中では有名です》
イズの言葉聞いた俺は、親子丼の為にも何匹か捕まえて卵も回収すると家へと戻る為に、来た道を歩き直す。
「はい到着〜」
俺は家に入り、キッチンに立つと集めてきた素材を並べ始める。
「まずは、天丼からです。
用意するのはこちら!
鬼の育てた新鮮な野菜と、俺が取ってきたエビと、
俺は、天丼に使う食材を集めると、早速調理に取り掛かる。
油を鍋に注ぎ、卵と片栗粉を付けたエビや野菜達を油に入れる。
エビや野菜を油の中に入れると、ジュワッという心地よい音と共に徐々にきつね色になっていく。
色を見ながら、十分だと思った物から網目状のお皿に移していく。
「はい、完成!
これを、米の上に置きまして、その上から特製ダレをぶっかける!」
米の入った丼に綺麗に天ぷら達を乗せていき、その上から特製ダレを満遍なくかけて、料理がひとつ完成した事にある種の達成感を持つ。
俺は出来上がった天丼を数秒眺めた後、同じものを500個程作り、寿司とは別の箱に入れる。
「よし、2個目は親子丼だ」
俺は、親子丼に使う鶏肉と卵を用意するとフライパンに、鶏肉を入れて焼いていく。
少し肉に色がついて来ると、卵をまり掻き混ぜた物を肉にかけるようにフライパンに入れる。
卵が僅かに固くなってきたのを確認すると、火を止めて米の入った丼に盛り付ける。
そして、その上から再び特製ダレをかけて、同じように300個作り、別の箱に入れる。
「最後は、カツ丼だな」
天ぷらの時と同じように、鍋に油を注ぎ、卵と片栗粉を纏わせた豚肉を油に入れる。
きつね色になりこれで十分と感じると、米の上に乗せ特製ダレをかけて、同じように100個作ると箱にしまう。
3つの箱にそれぞれ中に入っている料理を書き、最後の料理を考える。
「タコが残ってるし、たこ焼きにするしか無いな!」
そう言って、
たこ焼きの硬さを確認しながらひっくり返す。
完成した50人分のたこ焼きを新しい箱に入れて、たこ焼きと箱に書く。
「料理は、おしまい。
あとは、娯楽だな…どれにするか」
俺は、キッチンから離れて、寝室に向かいながら考えるのだった。
俺は、寝室の布団に寝転びながら祭りで出す娯楽を考えていた。
「祭りといえば射的やくじ引きだけど…なんか違う気がするんだよな」
俺が頭を捻りながら必死に考えていると、3つの娯楽を思いついた。
「よし、成功するか分からないけど、歌とダンスと演劇にしよう!
前世の世界で流行ったんだからこの世界でもウケるに違いない!
…はい、俺がしたいだけなんです」
自分の想いに正直になった俺は、早速何を歌って踊って演じようか、考えていると、ある1つの案を思いついた。
「せっかくだし、カグツチ達も誘ってみるか?
せっかく休みを与えたのに申し訳ないけど、話してみて興味を示すようなら、みんなでやってみるか」
娯楽について決まると、夜が遅い事もあり、みんなへの相談は翌日にして、俺は眠ることにした。
翌日になると、俺はみんなを集めて説明をしていた。
歌やダンスは目の前でやってみせて、演劇に関しては詳しく隅々まで説明した。
それによって参加するメンバーが決まり、しかも祭りの時に何をするのかも決まった。
俺は、演劇だけに出ることになり、カグツチとスクナは歌だけ出ることになり、黄泉は歌と演劇に出る事になり、イザナは演劇だけに出る事になり、リルは演劇と歌に出ることになり、ニアは歌とダンスに出ることになり、クシナは演劇だけに出る事になった。
楽器を使う曲もあるだろうし、とりあえずいくつかの楽器を作っておく。
というか、この世界の奴ら狂ってる…
普通数時間やっただけで楽器を完璧に使えるようになるとか…
歌が歌えるようになるとか…
マジで狂ってんだろこの世界の住人共…
と、とりあえず気を取り直して、演劇に関しては、イズやカグツチ達から聞いたこの世界の神話を元にしたものにする事にした。
祭りの方向性を決めた俺達は、祭りまで残された時間でそれぞれの出し物を磨くのだった。
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