第22話 竜鬼近衛団の戦い

 

 黄泉視点


「じゃあやるか」


 ミロク様がそんな事を呟くのを聞いた私は、ミロク様の肩をつつく。


「どうした?」

「魔物の相手は私に任せて」


 私がそう言うとミロク様は頭を傾げた。

 私はそんな姿も可愛いと思いつつ、しっかりと説明する。


「この程度私だけで十分」


 そう言って部下達にミロク様を任せて、私は前に出て魔物を見る。


「女1人ダケカ……マァ美味ソウナ女ダカラ良イダロウ」

「キモ」


 私は、キモイ発言をする犬の魔物に素直な想いを言葉にした。


「というか喋った?

 その前に……動くな」


 私は、魔物が話した事に驚きながらやる事を思い出し、威圧しながら話す魔物以外の魔物に動かないように命令する。

 すると、魔物達は身体を震わせ立ち止まる。


「ハハッマジデ面白イ女ダ。

 俺ハオ前ヲ手ニ入レルト決メタゾ!」

「…死んで」


 私は右手に短刀を持ち、左手に小太刀を持つと、魔物に一瞬で近づき首を落とした。


「…なん、だと」

「…最後に言っとくね。

 私は既にミロク様の物だから。

 身も心も全部」


 そう言って、左手で持った小太刀で落ちた頭を粉々に斬った。


「あとは、楽。黄泉比良坂よもつひらさか


 私と約1万の魔物のいる世界が異質に変化する。


 空は真っ白に、地面は真っ黒になり、一体の黒と白色の人のようなナニカ……ミロク様は死神って呼んでた奴が現れる。


「殲滅して」


 私がその死神にそんな命令を下すと、手に持つ鎌を10メートル程大きくして、魔物の居るところを横一線に振るうと、鎌に斬られた1万の魔物は、斬られた箇所から灰に変わり、風に乗って何処かに消えていった。


「ミロク様、終わった」

「あぁ…すごいな頼もしいけど、1人で背負うなよ?俺もやるからさ」


 ミロク様は、私の頭を撫でて励ましてくれた。


 そんなミロク様に抱きつこうと思ったが、今はやめておくことにした。


 それと同時に、ミロク様が何か感じたのか、竜の姿になって獣人娘の元に飛んでいってしまった。


「…」


 私は、少し頬を膨らませて遠くなるミロク様を見つめた。

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