第12話 鬼の変化(黄泉の場合)
黄泉視点
私は目の前の竜に見蕩れていた。
理由を問われれば…分からないとしか答えられないけど。
私には感情が無い…というより分からない…から、どうしてあの竜に目を奪われるのか、理由が不明確でモヤモヤする。
私が目を奪われる理由を必死に考えていると、カグツチがその竜に近づいているのを見て、私は足早に追いかけた。
カグツチ達と話す竜…ミロク君を見つめるだけで身体が熱くなる。
この火照りは何なのだろう。
私は、そんな事を考えながら気づけば集落に戻ってきていた。
私達はミロク君と住むことにしたみたいで、今は、集落に戻りカグツチが村長に移住する事を説得しているみたい。
カグツチに説得された村長は、集落に住む鬼全員を連れて、ミロク君と共に生きる事を決め、早々と準備を済ませ、森の中を歩いていた。
そんな時、禍々しいオーラを纏うオーガが現れ、カグツチやスクナ達を無力化していく。
それを見た私はスキルを発動しようとするが、周りの仲間達を巻き込んでしまう為、右手に短刀を、左手に小太刀を持ってオーガに斬りかかる。
浅いけどどうにか傷を与えることが出来て、私はこれを好機だと思って速度をあげて斬り続ける。
それをオーガは脅威と感じたのか、私の武器を掴んで、動けなくなり無防備になった私のお腹をオーガが殴ることで、私は武器から手が離れ、近くの壁に叩きつけられた。
「ああっ!?」
私は、身体が痛みのあまり悲鳴をあげて動けずに居ると、オーガの腕が突然斬り落とされて、それと同時に現れた少年に目を奪われた。
根拠は無い…確信もない……それでも、分かる。
目の前の少年はミロク君だと。
私がミロク君に目を奪われている間に、ミロク君は一瞬でオーガを殺して、禍々しいオーラを浄化させたのか天に返していた。
その姿に再び体を熱くする。
そして、私はこの火照りの理由を知らないふりをすることが出来なくなっていた。
「これは…愛情。
…私は、ミロク様の事が好き」
私は熱気を帯びた視線を、笑みを浮かべる可愛らしいミロク様に向けるのだった。
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