第11話 鬼の変化(スクナの場合)
スクナ視点
アタシは目の前の美しく、そして神々しい竜に見惚れていた。
荒々しい漆黒の狼のような竜…なのになんでこんなにも美しいのだろう。
アタシは、その姿に見惚れて動けずに居た。
アタシが動けずに居ると、カグツチが竜に近づいていくのを見て、アタシは勇気を振り絞ってついて行くことにしたわ。
竜…ミロクちゃんと話してアタシはさらに彼の魅力に呑まれたわ。
何故って彼は本当に心から優しい子なの。
アタシは心が綺麗で美しい子が大好きなのよ。
そんなふうに1人心の中で浮かれていたアタシを置いて、アタシ達鬼は、ミロクちゃんと一緒に住む事になったらしいの。
そしたら、アタシ達は足早に集落に戻って、捲し立てるように村長を説得すると、すぐに準備を済まして、ミロクちゃんの元に戻ろうと森を歩いたわ。
でも、現れちゃったの。
俺達が嫌悪するクソオーガが…
カグツチちゃんが真っ先に攻撃したけど、逆に殴り飛ばされちゃった。
それを見たアタシは、気合いを入れ直してスキルを発動したわ。
「大黒天」
アタシがそう呟くと、アタシの背後の空間が割れて真っ黒な空間が現れた。
そして、その中から真っ黒で色んな形をした武器がオーガ目掛けて飛んで行く。
でも、オーガに当たった武器は、オーガを貫く事無く折れていく。
「嘘でしょ!?」
驚くアタシに、武器の1つを掴んだオーガは、その武器をアタシ目掛けて投げた。
アタシは、それが当たる寸前で、武器を取り出し防御するけど、威力がバカみたいにヤバくて弾き飛ばされる形で、カグツチちゃんが蹲る場所に叩きつけられた。
痛みのあまり動けずに、オーガの絶望的な力に戦意を失った時、オーガの腕を斬り落として1人の可愛らしい少年が現れたわ。
少年の持つ美しさと綺麗な心を見て瞬時に理解したわ。
あの子はミロクちゃんなんだって。
そこからはミロクちゃんの独壇場だった。
ミロクちゃんの戦いは美しいとしか言い表せない異次元な物だった。
姿が消えて転移したみたいにオーガの真後ろに現れて、そのまま手に持った刀で首を斬り落としたの。
あぁ自覚しちゃった。
アタシはミロクちゃんが好き。
彼の為なら家族ですらも殺せるわ。
だからね…
「アタシの命を貴方の為だけに使うわ…ミロク様」
アタシの決意表明の言葉を聞いたミロク様は、キョトンとしてから、にこやかに笑った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます