第7話 怨念の集合体


 俺は、カグツチ達を待って居ると、突然禍々しい気配を感じた。


「イズ…これは」

《恐らく、この世界に蔓延る怨念の数が限界点を超えたが為、その怨念がまとめて1つの魔物になった事で起きる瘴気でしょう》


 俺は、この気配の正体をイズに聞き、解決法を考えることにした。


「とりあえず、倒せるか分かんないけどそいつの元に行こう」

《それでは、補助をしますので空から行きましょう》


 イズの言葉で、俺の背中から真っ黒の魔力のような粒子が放出され、その粒子は翼のようになり、俺の身体はその翼が羽ばたくと共に浮いて行く。


「なるほど、飛べたんだ俺」


 俺はそんな事を呟き、気を取り直して禍々しい気配の元に向かった。


 気配の元に辿り着くと、カグツチ達が戦っており、苦戦している様子だった。


 その様子を見た俺は、すぐさま人の姿に変わり、強欲マモンで作った剣を握って禍々しい気配の腕目掛けて落ちながら斬り裂いた。


 それによって禍々しい魔物の腕は斬り落とされ、地面に落ちた。


「大丈夫?」


 俺は後ろにいるイザナ達にそう聞いた。


 イザナ達は動けずにいるが、傷を負っているようだったが、瀕死や重症の人は見当たらなかった。


「さてと、早めに倒そうかな」


 俺は、剣を構え直して、消えるように魔物の背後に移動する。


 移動すると、剣を魔物の首筋に当てて、斬り落とす。


 俺の剣が通り抜けると、魔物の頭は横にゆっくりとズレて、地面に落ちる。


 それにより、魔物の体は力無く地面に倒れる。


《マスター》

「分かってる」


 反転ルシファーを使い、イズと入れ替わると、魔物の死骸から吹き出る禍々しいオーラに手を向けて1箇所に纏める。


理想ザドキエル


 イズは、理想ザドキエルの力で、魔物へと変わった膨大な怨念が浄化し、天へと変える未来になるように決めた。

 それによって、俺の五感である味覚が一時的に使え無くなった。


「…これで大丈夫だろ」


 イズと入れ替わり姿を戻した俺は、イザナ達の方を見る。


「ミロク殿……なんとお礼を言えば」


1人の村長らしき鬼が俺に近づきそんな事を言う。


「いやいや礼なんていらないよ。

それより、俺と住むのか答えも聞きたいし、俺の住んでる所に案内するね」


 そう言って俺は、まだ動揺している鬼達を案内するように歩いていく。

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