最終章 夏が来れば思い出す
第23話 大宇宙
無限に広がる大宇宙……
漆黒の闇の中にポツンと浮かぶ赤い点。
必死の思いで ”あけつき” から脱出したものの目標は今だ発見できない。
”いや、あれだけ入念にLechuで計算した結果だ。 間違えるはずは無い”
何度もそう思いながら何も無い空間をキョロキョロ観察していると、
遙か前方に微かな光点を発見。
”やっと見つけたぞ…… あれか…… あれが、ハカブサ”
残り少ないバーニアを使いたくなる衝動に駆られるが、ここは我慢するしかない。
気の遠くなる様な距離と時間に耐えながら見失わないように光点をジッと見つめ
続ける。すこしずつ大きくなる ”ハカブサ” の姿を見ると、再び地球に戻る希望
が膨らむ。
”地球か…… 何もかも皆、懐かしい”
肉眼でその全貌を確認できる距離まで接近。
バーニアを微弱で数回吹かして相対速度と方向を調整。
”あのカプセルにうまく入れれば…… また秋葉の大地を踏むことが出来る”
ようやく手の届く距離まで接近。カプセルの開閉ハンドルを掴む。
しかしマニュアルにあった操作を試みるもカプセルは開かない。
”いかん…… ここは落ち着いて……”
何度も試みるも…… 不動。
すると、突然!……
カプセル側面のインジケータが赤く点灯。
”使用中”
驚天動地。力任せにハンドルを引っ張る。 ”ガチャガチャ”
すると宇宙服を通してカプセル内部から、声が伝わる。
「入ってます!」
”誰?…… だれぇーーー????”
想像を絶する事態に停止する思考回路。
手からスルリと離れるLechuNote。
”あーーー! Lechuがぁー!!”
Lechuを追ってハカブサ から離脱。
慌ててバーニアを吹かすが既にガス圧ゼロ……
赤い宇宙服は ハカブサ から離れて宇宙の深淵に消えていく。
数十年後、
月の裏側に発見された洞窟内部に赤い宇宙服を着た地球人の死体が発見されるのだが、それはまた別のお話。
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