第21話 最終奥義

一同、吃驚仰天!!!慌てふためくホウクウド。

「さ、5分なんて、間に合う訳ないじゃん?? どうすぅんのぉ??」

谷間さん。 「もはや茎水を飲むしか」

葵さん。  「あの巨体を5分で撤去するのは無理です」

ルーシー。 「これだから、お釜はいや!BLとは美しさの次元が違うわ」


すると、当然、次にボケるはずだったチャーナちゃんの様子がおかしい???

チャーナちゃん、行き成り立ち上がると斜め45度上を見上げている。

心配になった谷間さん、 

「チャーナちゃん?どうしたの……って、あれ?何か、変??」

なんと、

チャーナちゃんの右目と左目はルーレットの様に数字の羅列が表示されている。

「チャ、チャーーーナーーちゃぁーーん!!」


すると、突然!数字の羅列が止まり、右目に ”O” 、左目には ”K” の文字が。

”ピコーーーン♪” 「計算できますた…… 大丈夫です」

そういうと、チャーナちゃん。

爆熱王操縦席の中央に座っている死にそうな見知らぬ爺さんをポイッと外に放り投げると、その席に座ってインカムで通信。

「ナンシー長官! ”ファイナルレスキュー” の使用を要請します!」


いきなり呼ばれたナンシー長官。けど、解っていた様な様子で、

「了解しますた。

チャーナちゃん。 ”ファイナルレスキュー” の使用を承認しますヨン!

解除コード、転送!ヨン」 

ナンシー長官、豊満な胸元の谷間から携帯端末を取り出すと、解除コードを転送。

「 ”イ・エ・ロ・ー・ハ・カ・レ・ー・ズ・キ” っと…… ポチッとな♪」


すると、突然


”ピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポー……”


爆熱王の全てのライトが点灯するとけたたましくサイレンの音が鳴りひびく。

「な、な、何んーーーーだぁーーー???」

操縦席の全てのインジケータが赤く点滅。

チャーナちゃんの目の前のフロントガラスにクロスターゲットとインジケータが表示。そして、ハンドルが内部に収納され、替わりにトリガーが付いた黒い操縦桿が出現。チャーナちゃん、その操縦桿を ”グァシ” と掴むと、おもむろに、


「発動!!! ファイナルレスキュー ”爆砕黄金華麗砲” !!!」


突如、操縦席に響くアニメ声。

「了解、僕は萌臓。

これからファイナルレスキューモードに入りますのでフロントガラスのインジケータに、ご注目ください」

一同、仰天! 「も、萌臓がしゃべってる????」


意外に話好きな萌臓。

「あ、ビックリしますた? ご説明いたします。

爆熱王は通常時基本OSで動作していますが、一度解除コードが入力されると各種

ドライバが解除されてマニュアルで操作する ”ファイナルレスキューモード” に

入ります。つまり今までドライバで管理されていた部分をメインコンソールから限界まで操作できます。しかし、これでは爆熱王の安全が確保できない可能性があるので、僕、萌臓が各デバイスの状況を逐一ご報告いたします」

ホウクウド、納得。

「そうか。

今、爆熱王の全てがチャーナちゃんの手に委ねられた、と、いうことか……」


妙に明るい萌臓。

「そうです! ついでにご説明いたしますと、水害イエローの最終奥義 ”爆砕黄金華麗砲”。これは爆熱王のタンク内蔵物を限界まで加熱、加圧し、それを左手の吸い込みホースから一気に放出、全てのものを爆砕する荒技です。しかし、これは爆熱王の全エネルギーを放出するので、その後は動作不能になるという諸刃の剣……

失敗は許されません」

ホウクウド、しみじみと。

「我々の運命、いや秋葉の運命がチャーナちゃんの一撃にかかっているのか……

って、内蔵物?を街中で放出ってマズくね?」

すると萌臓。

「いえ、先程チャーナちゃんが計算していたのがキング・ゲイ・ダの巨体を 

”第二宇宙速度” まで加速できるかどうかということ。つまり、今、吸い込みホースの先端がキング・ゲイ・ダの体内にあるため内蔵物ごと宇宙に打ち上げてしまう

お考えかと。既にあのお方が準備しておられます。外をご覧ください」


見ると、さっき外に放り投げた爺さんがうつ伏せていたキング・ゲイ・ダの巨体を

垂直に支えている。 ”うぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおーーー”

「あ、あの爺さんはさっき死にそうだった爺さん。

でも…… 額に ”肉” の文字。腕には ”秋葉”。そして、マジックで書かれた髭…… 

なんと、秋葉の狂王 ”秋葉翁” では無いか!! こんなところに居られたとは…… 正に最強」


萌臓、まじモード。

「さ、話が長くなると間に合わなくなりますので。

既に加熱、加圧が始まっています。直ぐに限界域に達しますので、皆様もご準備を」

一同、自席に着席。チャーナちゃんの席にはホウクウドが座った。

チャーナちゃんは真剣な面持ちでインジケータを注視する。


爆熱王背面のポンプがフル稼動。操縦席内部にも振動と熱が伝わる。

「タンク内、温度、圧力上昇。セーフティバルブ閉鎖。これより限界域に入ります」

インジケータの表示が赤に変化。操縦席の緊張が高まる。

チャーナちゃん、ドスの効いた声で、

「総員! 対ショック、対水害防御着装」

一同、ゴム手、ゴム長、マスク、そして水中メガネを着装。


”ウィンウィンウィンウィンウィンウィンウィンウィンウィンウィン……”


背面ポンプが唸り始めると同時に、タンク壁もミシミシと不気味な音を発し始めた。まじモードの萌臓が叫ぶ。 「そろそろ限界です!」


黄色い公園ではナンシー長官、ジロゥ、レノちゃんが両手を合わせてお祈りモード。

全身を小刻みに震わせながら立ち尽くす爆熱王。

その巨体を覆う空気は膨大な上昇気流による陽炎に揺らぐ。怒れる黒鉄の巨人…… 「覚えておくんだ。 あれが、日本の漢の艦だ」


チャーナちゃんの頬に一筋の汗が滴る。 「……まだ、まだぁ!」

操縦席もサウナの様な熱気。

暑さと緊張に精神の糸が切れそうになる中、萌臓が叫ぶ!

「限界点、突破!!! これ以上は危険です」


チャーナちゃんは無言……

堪らず、ホウクウド。 「チャーナちゃん……  もう、この辺で……って、あれ?」

すかさず葵さんがチャーナちゃんの様子を見ると、


「…… フリーズしてます」


一同、驚天動地!!! 「これだから、VAIBOは駄目!!!(個人の感想です)」

谷間さんとルーシーが左右同時にチャーナちゃんの頭を叩くと、復活。

再起動、チャーナちゃん。

叫ぶ! 萌臓!! 「キケーーーン!!キケーーーン!! バス、ガス、爆発ぅー」

爆熱王のすべてのサイレンが狂った様に回転する……


”ピーポー!ピーポー!ピーポー!ピーポー!ピーポー!ピーポー!ピーポー!”


遂にその刻がきた…… 

秋葉の命運、ここに極まる! その場で立ち上がり、全員でポーズ。


「発射! 最終奥義 ”爆砕黄金華麗砲”! 華麗にスルー!!!!!」


と、同時にチャーナちゃん、操縦桿のトリガーを引き絞る。

萌臓、絶叫!! 「ゲートオープン、開放!!!!」


"ガッッ!!!ズゥオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!”


超高温、超高圧にまで達したタンクの内蔵物が吸い上げホースの先端から怒涛の如く迸る。その熱いたぎりに堪えられなくなった爆熱王がおもむろに片膝を付くと、脈動するキング・ゲイ・ダの巨体は ***(非常口です)から熱い液体を高速で噴出しながら、あたかも糸を引かれた傀儡の様に昇天していった。

その場に居合わせた誰もが皆、その異様な光景に言葉を失った……


”ヒュユユユユーーーーーーウウウーーー”


昇天するキング・ゲイ・ダの巨体が見えなくなる程小さくなった数秒後……

秋葉上空に小さな赤い光点が生じたと思うと、それはみるみるうちに広がり、

更に数秒遅れて、


”ズズズズズドドドドドドドドドォォォオオオーーーン”


秋葉の大地を揺るがす程の大音響!!!

その場に居合わせた誰もが、上空を見上げ全身を振るわせた。

「やったか? 成功したんだなぁ!」


皆、互いの顔を見合わせ、その無事を噛み締める中……

ホウクウドだけが絶望を予見した!

「いかん、高度が足りない…… 秋葉の街に ”あれ” が降り注ぐぞ!!」

顔をしかめる一同。 

「 ”あれ”って、もしかしたら ”あれ”?…… バキュームカーの内蔵物?」

目を伏せ悲しげに答えるホウクウド。

「そうだ! バキュームカーといえば…… ”あれ” しか、アリエンワー!」


そうこうするうち最初の一滴が ”ポツ” そのうち、

”ポツポツポツ……ザーーーーー”

全エネルギーを使い果たし動けなくなった爆熱王にも降り注ぐ 雨、雨、雨。

BGM 雨音は〇ョパンの調べ (小林〇美)


秋葉全域がしっとりと濡れる頃。老人は我を忘れてはしゃいでいる。


「うぉぉぉおおおー! 酒だ、酒だー! ”茎水の上物” が降っとるぞー♪」


全身ズブ濡れで踊る、秋葉の狂王 ”秋葉翁”。

なんと、降り注ぐ雨の成分は ”あれ” では無くて、 ”茎水” であった!

すかさずインカムで通信、ホウクウド。 

「ナンシー長官! ”あれ” は ”茎水” なの?」

ナンシー長官、どや顔全開。

「そうだヨン! 爆熱王のエネルギー源は最初から ”茎水” だヨン♪」

満面の笑みを湛えるホウクウド。 

「そうか… いや、そういうことか… 何にしろ、良かった」


爆熱王の操縦席から跳び降りる谷間さんと葵さん。 

「飲ーーーむーーーぞぉー!!!」

後から飛び降りる***、いや、ルーシー。 「飲めないけどーーー♪」

最後に飛び降りたチャーナちゃん。振り返って爆熱王を見上げて、

「良く頑張ったね♪ 南極乙王」


その晩、黄色い公園


”7時のニュースをお送りします。

今日未明、秋葉付近で発生した茎水の降雨について、気象庁の見解では プツン♪”


「チャーナちゃん…… もう遅いからラジオを消して寝たほうがいいよ。

明日また早いから……って、あれ?…… 何だ、もう寝てるや…… 

じゃ、おやすみ♪」


ダンボールハウスの夜は更けていく……って、まだ、7時じゃん。


次の朝。 ”チュンチュンチュン……”


「むにゃむにゃ…… チャーナちゃん、おはよう。あれ?花柄のパジャマ?なんて、着てたっけ?」 傍らで寝息を立てているチャーナちゃんを見ると、全身が花柄?


「ぴぴぴぴーーーん!! 新しい朝が来た。

お、谷間!どうした?…… 朝から元気だな? あさ○ちか?……って、あれ?」

元気に目覚めたチャーナちゃん、異変に気づく!

「何……じゃ、こりゃ? 全身が花〇牧場??」


ダンボールハウスを飛び出した谷間さんとチャーナちゃん。仰天!

なんと、見渡す限り何処もかしこも、花園状態……

そこへ現れたホウクウド。

「おはよう!…… 

いやぁ、朝6:30からジャンク店頭に並ぼうかと思って来て見たんだけど……

秋葉全域が、豪華絢爛、極彩色の花園になっちゃってるんだ…… アリエンワ?

……って、あれ?チャーナちゃんも花園?」

どや顔全開のチャーナちゃん。見せ付けるかの如く華麗にポーズ。


ちょっと考えてから、谷間さん。

「うん。もしかしたら昨日の ”茎水の雨” に混じって ”花の種” が大量に降って来たのかも。チャーナちゃん、そのまま寝ちゃったし」


空を見上げてホウクウド。

「それって、あのキング・ゲイ・ダの破片に ”花の種” が混じっていたって

こと??…… あのサブロゥがそんな用意をしていたなんて」

二人同時に……  「アリエンワー」

でも、ホウクウドの脳裏に…… ”あいつ、意外といい奴だったのかも……”


悪の組織、秘密研究所


「まぁーーーーだぁーー??…… お釜は気が短いのよ! 早くしてよ、全くぅ……

いい? 秋葉で最強のボディよ。それ以外はアリエンワー。

絶対に秋葉最強のボディをGETして、直ぐにあいつ等に仕返しに行くから!

…… ねぇ、解ってる?」


悪の科学者、答える。

「えーーと…… 秋葉最強のボディっていうと、次の3種類がありますが、

どれにします?」


1.最恐女子高生、ごんすさんタイプ

2.暴悪大魔神、チャーナちゃんタイプ

3.秋葉の狂王、秋葉翁タイプ


「どれも、いやぁーーーーーーー!!! アリエンワーー!!」

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