第19話 高度600mの攻防
一同、驚愕!!! 「何?? あいつ、空飛べんのぉ??アリエンワ!」
ジャンク街上空、高度600m地点まで上昇したキング・ゲイ・ダはその位置に静止した。その姿を見上げて焦るホウクウド。
「クソォ、あんな高度では遠距離攻撃も一切、届かないぞ。
一体、どうすればいいんだ?」
一方、流れるような軽やかな動作で ”七” と描かれた巨大な尺八を取り出す
キング・ゲイ・ダ。
「終わりの始まり…… 滅びの尺八 ”釜鳴” ……
奏するは、 ”モーツァルトの子守歌” …… 眠れ、良い子よ」
”♪ボボボ、ボボボボゥェエエエエエーーーボボボ、ボボボボエーーーー♪”
次の瞬間! 地上のありとあらゆるものがピシピシと細かく振動を始めた。
「な゛に゛?゛ こ゛れ゛?゛ み゛ん゛な゛ふ゛る゛え゛る゛よ゛ぉ゛ー」
(以下、面倒なので濁点省略)
目を見張るホウクウド。
「…… ”第7の尺八” ??? まさか世界の終末に吹かれるあのラッパか?……
確か、ヨハネの黙示録では、 ”第5のラッパ” で ”イナゴ”。
”第6のラッパ” で ”4人の御使” が現れると聞く。
そして、 ”第7のラッパ” が吹かれると世界が滅び、
キリストの千年王国が誕生するのだが…… 果たして?」
そんなことはお構いなく。
尋ねる谷間さん。 「チャーナちゃん、どう?」
答えるチャーナちゃん。 「縦ゆれですね…… 乳が」 ”バイン、バイン、バイン”
ガックリうな垂れるルーシー。 「……揺れないわ、全く……」
冷静に分析する葵さん。 「これは、 ”超振動波” です」
”グァアアシャアアーーーン!!!”
すると突然!
葵さんの分析を裏付けるかの如く…… UDX側面のガラス窓が大破した。
戦慄! 青ざめるホウクウド。
「い、いかん!
このままこの超振動に晒されていると、秋葉の建物は崩壊するかもしれない」
爆熱王のボディもピシピシと軋み始めている。
ホウクウド、インカムでナンシー長官に通信。
「ナンシー長官、爆熱王には ”飛行ユニット” は搭載されてないの?」
ナンシー即答!
「最初はレッドの爆熱マシンが ”飛行ユニット” の予定だったんだけど……
落ちて無いのよねン、飛行機が。秋葉の路上に」
ホウクウド、 「……アリエンワ」
続けてナンシー長官。
「だから、自前で飛んでよン。ホウクウド、飛べるでしょン?」
”確かに、すばやさMAX ”神鳥” の翼を使えば……
しかし、この重量を持ち上げるとなるとパワーMAXの ”大熊猫” も併装するか?
でも、これをやると腹が減るんだよなぁ……
また、ナポリタン1200g食わなくちゃ……”
意を決したホウクウド。台車の上に仁王立ち。
「変身! パワー&すばやさMAX!!!」
ホウクウドの全身に旭日ペイントで描かれた大熊猫が実体化。
と、同時に神鳥の翼、発動!! 「よっこら、しょおっと!」
なんと、翼の生えた? 爆熱王が…… 空に浮かぶ!!!
”……重いなぁ、これ? タンクに何か入っているぞぉ…… まさか、アレ?”
一同、ホウクウドの苦労も無視して大喜び。 「うわぁーーーい♪ 凄いぞぉーー♪」
秋葉の空をヨタヨタと舞い上がる爆熱王。
第2ステージは高度600mの空中戦! 果たして、ホウクウドの腹はもつのか? いざ、出陣!
その頃、邪魔の入らぬ天上界でキング・ゲイ・ダ、熱奏。
”♪ボボボ、ボボボボゥェエエエエエーーーボボボ、ボボボボエーーーー♪”
しかし興にいっていたのはつかの間、胸元を通り抜ける一陣の風。
”バキッ!”
瞬間! 巨大な尺八はポッキリと二つに折れてしまった。 「誰!?」
遙か下方から右手を挙げた爆熱王が迫って来る。
そう、尺八を破壊したのは ”爆熱キャノン” であった。
叫ぶホウクウド。 「やらせはせんのだよ! 貴様には!」
下を見下ろして、キング・ゲイ・ダ。
「あらららあらー!? 糞虫の分際でここまで来るとは想定外よ」
チャーナちゃん絶叫!
「大空を制す ”空飛ぶ南極乙号”!! 白い雲を赤く染め、今、参上!」
ようやくキング・ゲイ・ダと同じ高度に達して、相対する爆熱王。
口火を切ったのはキング・ゲイ・ダ。
「やはり貴方達を先に倒しておくべきなのね……」
ここまで来るのにやっとの思い。額に汗してヒーハー、ホウクウド。
「秋葉の平和を守るんだったら、何処までだって追いかけていくさ」
そんなことは気にも止めず、下を見下ろして一同。
「うわぁーーーい♪ 高いぞぉーー♪」
チャーナちゃん、ご満悦。 「はっはっは!見ろ!ゴミが人のようだ!!」
ほくそ笑むキング・ゲイ・ダ。
「さぁ、空中戦よ!
このスピードについてこれるかしら? ”韋駄天、超天使スピン” !」
突如、爆発的に加速するキング・ゲイ・ダ。
目にも止まらぬ速さで爆熱王の周囲を ”欽ちゃん走り” で旋回する。
「ホホホモホモホモ。更に、蝶の様に舞い蜂の様に射す。
この華麗な攻撃を食らいなさい。 ”中性・子ビーーームッ”!!」
尖った両乳首から交互に、
爆熱王に向けて細かい針の様なパルス状の ”中性・子ビーム” が照射される。
”ビビッビビッビビッビビッ…… ビビッビビッビビッビビッ……”
360°方向からの死角の無い攻撃は避けようが無い。当然、全弾被弾……
剥き出しで爆熱王の背中を支えるホウクウドの尻にも被弾!
「うわっちゃちゃちゃー…… こりゃ、たまらん…… 何とかしてーー?!」
しかし、最速で、かつスパンキングストームの届かない微妙な距離を保ちつつ
旋回するキング・ゲイ・ダには為す術が無い。
爆熱王はこのままローストされてしまうのか?
するといつも冷静な葵さん、イーグルアイの最大レンジでキング・ゲイ・ダの構造を分析。 「発動! MAXイーグルアイ!」
”何々…… ふぅん、腹部に操縦席があってサブロゥはそこにいるらしい。
他の釜イダーは肩に2名、足の付け根に2名。 そうか! 副脳による条件反射。
それで高速機動が可能なんだ。恐竜と同じ理屈か……
でも、弱点は何処だろう?…… うーん、良く解らないなぁ……
あれ、変だな?…… ”六尺ふんどし” の内側が透視できないぞ。 何でだろう?”
葵さん、インカムで全員に通信。
「ホウクウドさん。
今、イーグルアイで視てみたんだけど ”六尺ふんどし” が、ぁゃιぃ……
何かを隠しているみたい?」
すかさず谷間さん。 「竿でしょう」
更にチャーナちゃん。 「いえ、玉かも知れません」
鋭く分析、ルーシー。 「どっちも無いんでしょうが…… 取っちゃったんだから♪」
熟考するホウクウド。
”確かに、隠すものは何も無いよなぁ…… ふんどしは一体何を隠しているんだ?
……待てよ…… あいつ、さっきから ”中性・子ビーム” を発射するために常に
爆熱王の方を向いて攻撃しているのかと思っていたが、考えると最初から背面を
見せたことが無いな?”
確かに…… 最初からキング・ゲイ・ダは絶対にバックを取らせていない。
更に熟考するホウクウド。
”この事実と、作者の作風を考慮すると……やはり、 ”けつ論” はひとつしか無い”
速攻でナンシー長官に通信。
「ナンシー長官、良く聞いてくれ。そこに、レノちゃんとジロゥは居る?」
慌てて答える、ナンシー長官。
「居るわよン。さっきから心配して上空を見ているよン」
ホッとするホウクウド。
「そうか、良かった。
今、爆熱王はあいつの攻撃に耐えるのが精一杯で、あのスピードについていけない。
そこでレノちゃんの超スピードであいつをキャッチして ”六尺ふんどし” を外してくれ。そうすれば弱点がはっきりするはずだ。
そこを間一髪、ジロゥの ”電磁調理器エンド” で攻撃するんだ。
あいつが爆熱王に気を取られている、今がチャンスだ!」
「了解したよン♪……
レノちゃん、あのねゴニョゴニョ。ジロゥ、ゴニョゴニョ……」
いつも元気印、レノちゃん。
「了解!
あたしの超スピードと比べたら、あんなの止まって見えるわ! まかせて」
パワー全開、ジロゥどん。
「了解でごわす。やっと、おいどんの見せ場でごわす。 まかすでごわすよ」
ナンシー長官、発令! 「出発進行!!……だよン♪」
”チェインジ!!” 同時に変身。
”ピョンピョンピョーーーーーン の ピョンピョンピョーーーーーン!”
まるで空中に見えない足場があるかの如く超スピードで空に駆け上がっていくレノちゃん。ちっちゃいレノちゃんは、キング・ゲイ・ダに気づかれることなく難なく六尺ふんどしに取り付いた。
「うんしょ、うんしょ、うんしょ……」 ちっちゃいけれどレノちゃんは力持ち。
六尺ふんどしの結び目を解いて空から投げ捨てる。 ”ポイッと♪”
「任務完了! 離脱します!」 気持ち悪いんでレノちゃん、高速で離脱。
何やら股間が涼しいのに気づくキング・ゲイ・ダ。急停止して股間を確認。
「あれ?…… あれ、あれ?!…… 何よぉ、これ! スッポンポンよぉ!!
…… いやぁああーーん(ハート)」
胸を押さえて後ろを向いて…… 空中で、”まいっちんぐポーズ” !!!!
鋭く視姦…… ホウクウド絶叫!
「やっぱり! 弱点は ”けつ” だぁーーーーーーーーーーっ!!!」
なんと、初めて背面を見せたキング・ゲイ・ダの ”けつ” には……
大きく ”非常口” と描かれた扉があった!!!
これを見逃すはずは無い! キング・ゲイ・ダの真下からジロゥ発進!!!
”ズゥオオオオオオオオオーーーーーー!!”
「必殺!!電磁調理器えーーんーーどぉ!!」 ”グゥワワワーーン!!!”
文字通りの ”けつカッチン”。
真下から ”けつ” をカチ揚げられ、大破する ”非常口” の扉。
「グモモモモモモモモモMoMoMoMoooooーーーーー」
声に成らない声をあげながら、両手でけつを押さえて迷走するキング・ゲイ・ダ。
「……けつが…… けつが、割れたぁーーーーーー!」
ほくそ笑む、ホウクウド。 「んなもん、最初から割れてるでしょ。ぷぷっ」
急転直下。 そのままのポーズで急降下するキング・ゲイ・ダ。
”ヒューーウウウゥゥゥゥーーーー…… ズゥゥウウウオオガガガーン!”
ビルの一角を破壊。舞い上がる砂埃……
その下で、けつを高く挙げてうつ伏せにうずくまる、キング・ゲイ・ダの姿。
これは正に ”お願いポーズ” 、うほっ!
豹変するホウクウド、うほっ!
「今だぁ!! あの小汚いけつに、 ”MAX爆熱パンチ” を打ち込めぇーっ!!、うほっ!」
谷間さん。 「ラジャ。 発動!!MAX爆熱パーーーンーーチッ!!、うほっ!」
すると突然……
今、谷間さんがアクセルを踏み込もうとする矢先……
静かだったルーシーが鬼の形相で立ち上がった。
「駄目! そんなの駄目よ…… イケないわ」
一同、唖然……
”シクシクシク……” すすり泣くルーシー。
冷静さを取り戻したホウクウド、優しい口調で。
「……そうか。いや、大人げなかったのは事実……
優しいルーシーは ”死体蹴り” は我慢できなかったんだね……
勝負はついた。もう、これで終わりにしよう」
しかし、首を横に振るルーシー。
「……違うの……そうじゃないの……そう、確かあれは今から10年程前の話……」
一同、驚愕!? なんのこと?
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