第8話 暗号伝言

一同、気を取り直して

「さて、せっかくピンクVAIBOが使えるようになったのだから、これで谷間さんの伝言をGuGuってみよう」

ホウクウドからご提案。そう、ジャンカーたるもの判らない事はGuGuるべし。

「さて、最初は ”ジャマダを探せ”。 ”ジャマダ” っていっても秋葉の ”ジャマダ” でしょ。だから、 ”秋葉 ジャマダ” でGuGuってみるね」


すかさず、入力。結果をみると、

「最初に出てきたのは、バイク屋さん? 関係ないね。次がやっぱり ”LAVI駅前店” だね。予想通りだけど」

すると、ルーシー。 「秋葉のジャマダはここしか無いわね」


「じゃぁ、次の伝言 ”ふるさと冥土紀行” 」

今度は葵さん。 「名詞が3つもあるから分けて入力したら?」

「了解。じゃ、最初は ”ふるさと” で入力するよ」

結果を見ると、 「最初に出てきたのは、 ”故郷(唱歌)” だね」

リンクを辿るとYoutubeのビデオが再生された。


♪うさぎ おいし かのやま♪


すると、ルーシー 「ウサギって美味しいんですか?」

ホウクウドと葵さん 「違うよ。うふふ。ウサギを追っかけているんだよ」


すると、勘のいい葵さんがあることに気づいた。

「待ってください!ホウクウドさん。最初の ”ジャマダ” と今の ”ふるさと” に共通点があります」

ホウクウドとルーシーの頭の周りには?マーク。


「いいですか。 ”秋葉 ジャマダ” でGuGuったら ”LAVI駅前店”。

次の ”ふるさと” では ”うさぎ おいし” です。

この ”LAVI” は ”RABIT” つまり ”ウサギ” に似ていません?」

ホウクウドとルーシー、口々に呟く。 

「LAVI、RABIT、ラビ……」 「うん、似てるね」

葵さんは上機嫌で続けた。

「そうすると ”ジャマダを探せ” は ”秋葉でウサギを探せ”。

”ふるさと” は ”ウサギを追っかけろ”の 意味かと」


すると、ルーシーは疑問を唱えた。 

「でも…… 秋葉に ”ウサギ” なんかいないわよ」

葵さん、ちと困惑。 「そうですね。次のキーワードを見てみましょうか?」


「次は、”冥土” と ”紀行” だけど……”冥土” = ”メイド” で間違いないなぁ。

”紀行” をGuGuる? あまり秋葉と関係ない結果しか出ないと思うけど」

すると、葵さん。「これは ”紀行” では無くて ”聞こう” じゃないですか?

つまり、 ”冥土さんに何かを聞こう” っていう意味かと」

「じゃぁ全部つなげると、

”ウサギを探して追っかけて、メイド さんに何かを聞こう” 」


すると、ルーシー斬新なご意見。

「”ウサギ” じゃなくて ”ウサギの格好をしたメイド さん” じゃないの? 

秋葉には、たまに ”うさ耳メイドさん” がいますよ」

ホウクウドと葵さん 「ビシッ!! それだ!!!!!」


「結論!! ”秋葉のうさ耳メイドさんを探して追いかけて何かを聞こう” ですな」


しかし、ルーシーちと疑問 「何を聞くの??」

「最後は ”下呂温泉ピーヒャララ” …… ナニコレ??」

葵さんが困った顔で 「これが一番、判りませんね」

ホウクウドのご意見 

「”下痢温泉” なら、お尻が ”ピーヒャララ” なんだけど」

ルーシー、嫌な顔で 「いやだ、汚い。冥土さんにそんなことを聞くの??」


三人一同 「まずは、 ”うさ耳メイドさん” を探すのが先決かな。

でも、何で谷間さん。こんな回りくどいことをしたのかなぁ??????」

一抹の疑問は残るが、とりあえず”うさ耳メイドさん”を探す方針で三人は店を出た。


「ホウクウドさん。ここは二手に分かれましょう。僕は駅前方面を探すので、

ホウクウドさんとルーシーさんはジャンク街を探してください」

「了解しますた。それでは、後ほど」


葵さんと別れ、カフェウーロの出口を出て東、祖父2方面に向かうことにした。

右に曲がるとすぐ目の前に ”OA駅” 跡にできた冥土SHOPがあった。

店前には、客引きの冥土さんが2,3人。しかし、その中には ”うさ耳メイドさん” は居なかった。ふたりは、その隣の ”愛痕” から数件ジャンク屋が並ぶ小道を 

”祖父2” 、 ”U” 方面に歩いていった。


すると、突然、前方から大きな音が


”ガラガラガランガラガラガランガラララッラランガランガランタッタッタ”


すると、間髪を入れず。 「KU,KUINIGEDA-!!!」 と大きな叫び声。

どうやら、食い逃げはケバブ屋であったようだ。

犯人はサ○ボ前を南に逃げたらしい。


「また、食い逃げか。しかし、あの大きな音は何なんだ??」


”祖父2” 前では、目撃者の皆さんが口々に。 「豚?」 「下駄?」 「でぶ?」 

総合すると ”下駄を履いたでぶな豚?? 何じゃそりゃ? 意味不明なんですケド。 スルー”


すると、ルーシー。早くも ”祖父2” 店内を物色中。

ここは、たまに店頭ジャンク箱にお宝が出たり、棚上の中古が半額シールなどでジャンク値段になったりするので要注意な店。そして、A5クラスの小さいノートが拾える可能性が高い。元々が祖父なので箱付き、備品付きがあったりするのも美味しい店である。


しばらくして、外に出てきたルーシーに様子を聞くと、

「うーん。みんなまともに動くものばかりなので、あまり興味は無いかも」

と、寂しいお答え。そう。基本的に中古屋なのよね。


さて、次は ”U” かな?


”祖父2” 前を中央通り方面に行くとすぐに ”U”。ここの1Fはバラエティグッズが豊富。2Fは中古とジャンクのPC。もちろん、2F直行。と、思いきやルーシーは1Fのグッズにご執心。やっぱり、女の子だから可愛い物も好きなんだよねぇ。

でも、ホウクウドは1Fはゲーム機のジャンクぐらいしかあまり感心無し。

なので、ちょっと中央通りに出てみました。

左側には冥土SHOPがあるので、この一角は冥土さん多し。

右見て、左見て、 ”うさ耳メイドさん” いないかなぁ……


すると、な、な、なぁんと。いますた!!! チラシ配りの ”うさ耳メイドさん”

早速、突撃! 冥土さんの背後から忍び寄るホウクウド。


コソコソ…… 「やあ」

「ハッ? いらっさいまさ、ごすずんさま」

キョドル、冥土さん。ホウクウドすかさず尋ねる。

「ちょっと、聞いてもいいですか」

「…… な、なんでしょう?」

有無を言わさず強引に、 

「スゥーーー ぐぅえろおんすぇん、ぴぃひやあららあ!!アヒャヒャヒャヒャ」


「き…………」

「き…………??」


「きち…………」

「きち…………??」


「きち○い!!!!!キター!!」

「…… ハア? 」


「お、おまわりさーん! ここに、きち○いが、いますぅ!! 」


全力で逃げる!!!ホウクウド。 そのまま、 ”U” の2Fに駆け上がる。


驚く、ルーシー。そこへ、お巡りさんが来て、

「お嬢さん。ここへ、怪しいおやじが来ませんでしたか?」

ルーシー、機転を利かして 

「はい。 今しがた、 ”印旛” の方へ走って逃げていきました」


お巡りさんは一礼すると、無線機を取り出して、

「あ、あー。本部、どうぞ。今、重度の薬物中毒患者と思わしき男が ”印旛” 方面に逃走中。服装は、上が羽毛のジャケット。下は皮のパンツ。ピンクのVAIBOを携帯。尚、訳の判らないことを叫んでいるため危害を及ぼす恐れあり。

発見次第、射殺可。繰り返す。発見次第、射殺せよ」

ルーシー、真っ青。


「あ、お嬢さん。ご協力ありがとうございました。それでは」

そういうと、お巡りさんは右手に黒光りする拳銃を握り締め ”印旛” 方面に走っていった。


ルーシー、慌てて ”U” 2Fに駆け上がって、

「どうしたの? ホウクウドさん? 見つかったら即射殺!って、ヤバくね」

ジャンクワゴンの陰に隠れているホウクウド。

「いやぁ、 ”うさ耳メイドさん” に例のキーワードを尋ねたら ”きち○い” 扱いされて…… 悪いことに近くのお巡りさんに ”通報しますた” ってことになっちゃって……」

あきれるルーシー。


「でも、その服装だともうジャンク街は危なくて歩けないわ。変装しないと」

「一応、普段着の用意はしてあるんだ。いつも地元の駅に降りたら着替えるから」

そういうと、ポケットから普段着一式を取り出した。

「何でもいいから、それに着替えたらいいわ。あたし、おもてを見張っているから」

「了解しますた」


数分後、

ルーシーが2Fに上がるとそこには着替えが終わったホウクウドが立っていた。

全裸で…… ”パンダ” のボディペインティング。

両乳首に ”赤い羽根” を刺し、股間を ”鳥皮” のパンツで包み隠して……

「どうだい? ルーシー! ”ニューギニア県パプア市の冬の正装” は…… 

極まってる?」


以前からアンシーお姉ちゃんに ”ホウクウドさんは変態だから” とは聞いていたが、まの当たりにすると女子高生の常識を遥かに超えていた。しかし、今はファッション性云々は言ってはいられない。 

「うん…… い、いいんじゃない、素敵かも…… でも、離れて歩いてね」


ルーシーに褒められてホウクウドは上機嫌 

「そうか、初めからこの服装でくれば良かったな」

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