第43話B シャトルとミーティング(2)

 ―― 前日 ――


 それはイナクでの壮大なフェイストゥフェイスのミーティングだった。


 千人ものニューアイルの女性がセンターパークに降り立ち、対面する少し向こう側には千人のイナクの男性達が彼女達を見守っていた。後日、イナクでの大遭遇と呼ばれた。Vパスでの輸液を行うペアを決めるマッチングイベントだった。


 このミーティングに際してはルールが設けられていた。予めガイアがコレクションした五名の異性とコンタクトする。コンタクトするタイミングと地点はガイアが指定し、デバイス経由で誘導する。基本5分間のトークが行われる。


 選択の優先権は女性にあり、順位をつける。相手が重なった場合には、男性側が誰かを選ぶ。


 五人に会って相手が決まらなかった場合には、ガイアが強制的に相手を決める。


 とは言っても、誰にでもカップリングの拒否権はあり、最終的に輸液が行われない女性は人数が限られているが、放射線を厳重に防ぐ特殊なシールドルームでVパスを移動する。


 相手として選ばれなかった男性、輸液を拒否した男性も移動が可能であるが、スタッフとしての働きを要求される。今回の避難は皆が協力して成功させる必要があるのだ。

 

 やがて総勢二千名にのぼる男女が交わり、指定された相手と会い、ぎこちない会話を始めた。


 誰もが緊張し、初めて見る異性に驚き、やがて初めてする異性との会話に慣れ始めると、笑顔も見られるようになった。


「壮観ね」フェリアが言った。

「こんな光景初めて見たな」僕が言う。


 ガイアの選択は的確で、多くの男女が次々と相手を確定していった。

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