第44話 ペアリングとハイワープ

「カイル、ペアリングは完了したみたいよ。ガイアからレポートが入っている」

「じゃあ、輸液キットを配ろう」

「既に配布中よ、それより今度は大型プレートでVパスまで移動よ、カイルからみんなに伝えてよ」


 フェリアに促され、僕が2千人の初陣にスピーチをすることになった。

 僕はフェリアと二人で少し高い台に登って、みなを見降ろす。


「みなさん、カイル・ウォーカーと言います。ペアリングのご協力ありがとうございました。今配布されている輸液キットを持って、これから巨大プレートに乗ってVパスまで移動していただきます――」


 一通り説明を終えた時だった。


「カイルー!!」


 ペアリングした人たちの中から突然、声がかかった。声のする方向を見ると、見慣れた顔の人が手を振っていた。


「アリエル!」


 周りの人たちの注目を浴びながら、父のGPのアリエルが思いっきり手を振っていた。そしてその隣には……


「お父さんもいるよー」


 あ、父たちは第一陣に選ばれたのか、と思ったら、父の隣に女性が……


「お母さん!」

 今度はフェリアが叫んだ。なんと、僕の父とフェリアの母がペアとなったらしい。


「メリーも!」

 そしてこれまたフェリアの家のメリーと言う女性アンドロイドとうちのアリエルが一緒にいる。


 二人はアンドロイドなのに抱き合っている。そして周りの人々が僕らの家族であることを知って、四人を大きな拍手で包んでいる。父とフェリアの母もまんざらでない表情だ。


 僕とフェリアはさすがに恥ずかしくて顔が真っ赤になった。


「ピコ、ガイアに言ってくれ。おまえ、わざと組み合わせたなって」


 するとピコがとんでもないことを言い出した。


「カイル、今のあなたは私やターミナルを使わなくても直接ガイアと話せますよ。テレパシーでアナやメリルと話すこともできます」


 丁度その時、僕は頭の中でアナの意識を感じた。

(まさか……試してみるか)


「アナ、聞こえるか?」


 僕が遠く離れたアナを意識して声掛けると、頭の中にアナの心の声が響いてきた。


「カイル? 何? まさかテレパシー?」

「ああ、そうみたいだ」

「びっくりした! 私ともできるようになったのね。しかもこんな遠い距離で」

「僕も驚いたよ」


 ――続く

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