第33話B ガイアとの計画立案(2)

「よし、問題なさそうだな。最後だけど――君はどうなる?」


 僕がガイアに聞いた。僕にとっては我が子の様なものだ。しかしこの巨大な情報システムは流石に移動させることは不可能だ。基本システムのバックアップは地底に持って行けるだろうが、分散させたハードウェアを限られた時間で全て持って行くことはできない。


「私? ガイアシステムですか?」

「そうだ。ガイアはどうなるんだ?」


「……私は、ここに残るしかありません」


 後ろからザックが言った。


「カイル、全凍結期間はナチュナルなら約一万年だ。しかしフェリーナに頼めば、特殊な復帰方法はある。あいつなら地球の時間も制御できるはずだ。やつの体調次第だが」


「ガイア、しばらく凍結に持ちこたえてくれるか?」


 僕がガイアに言った。最高のレガシーAIシステムであるガイアは少しの沈黙の後に回答した。


「例えば2年程度であれば周囲温度を保管仕様の0度以上に保つことができると思います。思いやってくれてありがとうございます」


 ガイアは人間の様な台詞を吐いた。


「何とかするよ。じゃあ、計画を始めようか。詳細なスケジュールを教えてくれ……」


 僕はさらに詳細な情報の確認を始めた。やりとりを聞いていたフェリアは、ガイアのコンソールを見つめて神妙な顔をしていた。


 「次は私の番よ」


 フェリアが表情を引き締め直してコンソール前にやってきた。


「ニューアイルの女性達を、イナクに移動する方法を決めたいのだけれど、わざわざ山を越えなくても済む方法を考えて欲しい。時間が無いでしょう」


 僕は少し考えてから言った。


「ガイア、ランス山脈の地下に非常用の貫通トンネルを作っていたはずだけど……」

「ワイドアンダーパスですね。ありますがメンテナンスされておりません」

「使用自体は可能か?」

「私(ガイア)のコントロール領域は問題無く使用可能です。ランス地下以外の外部通路については状態がわかりません」 

「アナ、わかるか?」


 僕が聞く。アナは少し調べてから答えた。


「いくつかのゲートをマニュアルで開ける必要がある。たぶん私ができる。私が行ってくる」

「一人で大丈夫か?」


 僕がアナに確認した。

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