第33話 ガイアとの計画立案
僕ら3人は、その足でマザーセンターに駆け付け、ガイアシステムと避難計画を固めることにした。フェリアはさっぱりした顔をしている。
センターの入口に見覚えのある男がいた。
僕は思わず叫んだ。
「ザック!」
「よお、遅かったな、カイル、アナ、そして……フェリア」
ザックは相変わらずの風貌と口調だったが、心なしか穏やかな表情に見える。
フェリアがすっかり慣れた相手というように言った。
「ここに来てたの? どこに行ったかと思ったら」
「どうせ、お前らは最終的にここに来なけりゃいけないからな。先に来てくつろいでいたよ。ガイアにはVパスの利用方法とか情報を入れておいたぞ。時間はあまりない。さっさと計画を立てに行こうぜ」
僕らは揃ってガイアのコンソールに向かった。
――メインコンソールの前――
僕とアナがガイアと話している。少し離れてフェリアとザックは椅子に座って会話の様子を聞いている。ガイアシステムが僕に話しかける。
「カイル。イナク中心に男性九百万人、ニューアイルからやってくる女性は八百万人、合計千七百万人です。全世界の人間が揃います。」
「オーケー、ガイア。GPとペットは?」
「ザック・ランバートと話しました。人間と同様、全て地底第七層ペルシダーへの移送が可能です」
ガイアとザックは既に、必要な地上の生命とアンドロイドの避難計画をまとめてくれていたようだ。ガイアが言う通り、地底には幾層もの世界があり、第七層が今回地表の我々が避難するために指定されている。
誰が第七層を指定したのかって? それはわからない。ザックに聞いても「マヤかな?」とあいまいな答えしか返ってこない。誰だマヤって。
とにかく、避難先は…… 地底の第七層(ペルシダーと言うそうだ)に決まった。
「輸液の方法はリンクパッドによる経皮接続でいいんだな。放射線防護薬の投薬後24時間以内にパッドを男女ペアにつけて繋ぐ。薬は3日持つが、念のため1日1錠服用する……」
「カイル、移動には約2時間かかります。Vパスに投入する人々のペースは一日約五百万人、一時間に二十万人、一分間に平均三千五百人です。必要な薬剤やパッド、設備の手配は終わっています。スタッフの設定、振り分けもです」
次にアナがガイアに聞く。
「男女の組み合わせはどうします?」
「個人の希望に沿いますが、最終的にはこちらで決めます」
「わかりました。肝心のVパスへの投入と移送時の形式はどうなりますか?」
「ザックと話して一度に千人が乗れるプレートを千枚用意しすることにしました。Vパスの周囲半径五キロメートルを乗車場として、パッドを付けて順次プレートに乗せ、定員になったプレートからVパスに投入します。ザックから強力な重力制御方法を伝授してもらいました。巨大なプレートを浮かせてVパスにゆっくり投入していきます」
今度は僕が聞く。
「Vパス内の地底への移動は二時間? 降下中の状態はどんな感じになるの?」
「エレベーターと同じです。パッドさえつけていれば特に障害なく地底まで行けます」
「気圧や温度の影響は?」
「Vパス内は常圧、常温に保持されます。ペルシダー到着後は二時間ほど体を慣らす巨大ドームで休んでもらいます。その後は自由にペルシダー内を行動することができます」
「よし、問題なさそうだな。最後だけど――君はどうなる?」
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