案件24.焦燥のアゼル
4月25日、
『
「ぐああ!!」
17時59分、
「今回のMVPはアゼルです、
「すごいねアゼル、ほぼ毎日MVP取ってるよ!」
「フン、ちっとはやるじゃねえか・・・」
しかしアゼルの表情に余裕はない、
10万点以上のスコアを持つカネリと、大差をつけられたままだからだ。
(
「でもアゼル、最近一人で無茶しがちで危ないよ?みんなと協力して人助けしようよ」
「随分呑気だな、俺達は救世主を目指し競い合うライバルであることを忘れたか?」
「ボンゴラはお前をゲキアツ心配してんだぞ!」
「お取り込み中ですが、
「何っ!?」
「
そう言ってルニエルは黒一色の封筒を手渡し、アゼルは受け取るやいなや落ち着かない様子で開封し中の手紙を読み始めた。
「なんて書いてあるの?」
「・・・本家から直々に案件の依頼だ。成功報酬は・・・1万!」
「1万点だとぉ!?」
通常、ランクが低い
ただし緊急案件や、当人の実力に応じ依頼される特殊案件などの例外がある。
聖女直々の依頼であるシャドスター案件や、先週の大規模テロでカネリが1万の
「行くのアゼル?」
「当然、願ってもない
(この案件が成功すれば、本家は俺の評価を改めるはず!)
さっきまでと打って変わり、アゼルは不敵な笑みを浮かべていた。
「でもアゼル1万点だぞ、お前一人で大丈夫なのか?」
だがカネリのその一言が、アゼルを再び苛立たせてしまった。
「一人で大丈夫なのか、だと?」
「偶然風邪をひいて10万獲得した落ちこぼれが、俺の心配とは随分偉くなったものだな」
「なんだと!?いい加減にしろお前!!」
カネリが激昂しアゼルに詰め寄るが、ボンゴラに止められた。
「どけボンゴラ!」
「カネリ待って!」
「アゼル、今の言い方はよくないよ!」
「とにかく、この案件は俺一人で十分だ」
「カネリ、余裕でいられるのは今の内だぞ。お前のスコアなど
「ああそうかい、勝手にしろバーカ!」
アゼルはケンカ別れする形でその場から去っていき、ボンゴラは彼の後ろ姿を心配そうに見つめていた。
「アゼル・・・」
「ほっとこうぜ、あんなヤツ!」
その時、ボンゴラは背中を指でツンツンと突付かれたのを感じ振り向くと、そこにはいつもとは違う服装のマナキがいた。
「ボンゴラ君、お仕事お疲れ様!」
「マナキちゃん・・・」
マナキはあまり元気がないボンゴラと不機嫌なカネリ、そしてアゼルが不在という状況から三人の間に何かがあったのだと察した。
18時21分、ボンゴラたちは近くの料理店【
「そっか、そんなことがあったんだ・・・」
「でもそれはアゼルさんが悪いよ、せっかく心配してるのにね!」
「だろぉ!ゲキアツ腹立つよなアイツ!」
「こうなったらヤケ食いしてやるぜ!」
「食べちゃえ食べちゃえ!」
「ありがとうマナキちゃん、話を聞いてくれて」
「聖女ですから」
「それより人前に出て大丈夫なの?」
「だからこうやって変装してるの!」
マナキは長い髪を大きな帽子で隠し、伊達眼鏡をかけている。
彼女の護衛を務めるイザベロとクレイアも、髪型を変え私服姿で付き添っていた。
「聖女様が力を極力抑えれば、人々に目立たぬよう振る舞うことができます」
「お忍びで各地を渡り、世情を把握することも聖女様の務めです」
「ねえねえボンゴラ君、この恰好どう?」
マナキのあざといポーズでボンゴラは少し赤面し、ぎこちなく返事をした。
「え、えと・・・改めてよく見ると・・・普段とはちがうギャップ・・・かな?」
「すごく新鮮で・・・カワイイ・・・です」
「え!?もっかい言って!」
「カッ・・・カワイイですっ!」
「もうヤダ、ボンゴラ君ったら~」
「オイオイ、人前でイチャつくなって」
カネリはニヤニヤしながら、1キロを軽く超えるであろう骨付き肉にかぶりついた。
しかしその時、ウワアアアという叫び声が店内に響き渡った。
「ンガ!?」
「厨房からだ!」
カネリは肉を咥えたまま、ボンゴラと共に厨房へ向かった。
果たしてこの店に、一体何があったのだろうか!?
To be next case
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます