案件10.ストーカーとスナイパー

 夜、西京さいきょうグランドホテルは闇異ネガモーフの集団に襲われ、近くにいた異救者イレギュリストたちが応戦しつつ、宿泊客の避難を促していた。


 その混乱の中、マナキが泊まっている客室にシャドスターが現れ、聖女の護衛クレイアは傷つき倒れていた。


「聖女様、お逃げ下さい!」


「これでもう邪魔者はいない・・・あなたは僕のモノだ・・・」


 マンジロウが変異したシャドスターは、ガイコツのような顔と全身の渦巻き模様が特徴の闇異ネガモーフだ。

 しかし彼の身体からは闇のオーラが色濃く溢れ、その影響か理性を失っている。


(前に会った時よりもずっと闇が深まってる、この人に何があったの!?)


 普段のマナキであれば、今のシャドスターを容易く浄化できるが、先程の祈祷で力を使い切っていた。

 聖女は各地をまわり祈りを捧げることで、その地域に溜まった闇を浄化し闇異ネガモーフの発生数を大幅に減らすのだ。

 

 さらに悪いことに、マナキを狙っているのはシャドスターだけではなかった。




 西京さいきょうグランドホテルから遠く離れた西京さいきょうタワーの頂上に、鷹のような顔で額に第三の目を持つ闇異ネガモーフが狙撃銃を構え、窓ガラス越しのマナキに狙いを定めていた。


 「出たな聖女。今度こそ、そのカワイイ顔をフッ飛ばしてやるぜ・・・」


 にじり寄るシャドスターと引き金に指をかけるスナイパー、聖女マナキは絶体絶命の危機に瀕していた。


 その時、客室にカネリファイヤとリチャウター、イザベロが乱入し、シャドスターは新たな敵の登場で動きを止めた。


黒火手団くろびてだん、ゲキアツ参上!!」

「ボンゴラくん!カネリさん!イザベロ!」




 一方、マナキを狙うスナイパーは殺気を感じ振り向くと、その先に黒皇ブラックレクスが佇んでいた。


「やはりここにいたか、天眼闇異てんがんネガモーフ:タカモクレン」

「標的の半径50km内の、最も高い場所から狙撃するスタイルは変わってないな」


「・・・そういうお前は変わってしまったな、黒皇ブラックレクス


 こうして、カネリファイヤ&リチャウターVSシャドスター、黒皇ブラックレクスVSタカモクレン。二つの戦いの火蓋は切って落とされた。


 カネリファイヤがシャドスターと戦っている間、リチャウターはマナキとイザベロと協力してクレイアを介抱していた。


「申し訳ございません・・・」

「三人は先に避難して下さい」


「ボンゴラくん、マンジロウさんをお願い!」

「必ず、この手で救ってみせる!」


 カネリファイヤはパンチとキックで攻めるが、シャドスターは影から影へ潜って移動し、攻撃が中々当たらない。


「クッソウ!モグラ叩きみてぇだ!チャンプファイヤーは使えねえし・・・!」


 一般人の避難がまだ終わっていないホテルの中で、火炎放射など行えば大惨事につながりかねない。考えるのが苦手なカネリファイヤでも、それくらいのことはわかっていた。


「聖女様がいない!どこへ行った!?」


 シャドスターは聖女が避難したことを知り、辺りを見回しながら叫んだ。


「またマナキちゃんを追うつもりだ、足止めしないと!でも、影に潜るシャドスターをどうやって・・・」

「オレにいい考えがある!」


「よく聞けマンジロウ!コイツはなあ聖女の幼馴染で、結婚の約束をしてんだぞ!!」

「ちょっとカネリィイイイ!!?」


「聖女様の幼馴染で・・・結婚の約束・・・だと・・・?」

「ふざけるなあああ!!寝言は寝てから言ええええ!!!」


 シャドスターはカネリファイヤの挑発に乗り、マナキを忘れ二人に激しい怒りを燃やした。


「ヨシ、作戦成功だ!」

「他に選択肢はなかったの!?とにかく、マンジロウさんを正気に戻そう!」




錬黒術ブラックアルケミー

 

 西京さいきょうタワーの頂上で交戦中の黒皇ブラックレクスは、両手から溢れる黒いオーラをクナイの形にして実体化させた。


黒幻自在ブラックイリュージョン!!』


 さらに残像を伴う高速移動をしながら、タカモクレンに向けて四方八方にクナイを投げ入れた。


 しかしタカモクレンは、狙撃銃で飛んでくるクナイを次々と撃ち落としていった。


「チィッ!」

「この程度か黒皇ブラックレクス?かつてのお前は、もっとブラックだったはずだ」


 タカモクレンが語る、黒皇ブラックレクスことアゼルの過去とは一体!?


To be next case

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