案件8.君の側にいたいから
救世主の代理人、聖女マナキが
「三日前に逮捕された、シャドスターのことか?」
「その通りです」
「
「影に潜む異能で1週間前から聖女様に付きまとい、三日前の
「あの時、マナキちゃんが無事でよかったよ。すごく心配だったんだ」
「ありがとう」
「何でストーカーを助けたいんだ?」
「あの人はホテルで襲われた時、わたしを守ろうとしてくれたの」
「犯人が別にいるのか!?」
「聖女様、本当によろしいのですか?」
「シャドスターが仮に無実だとしても、この事件を機に厳しい罰を与えるべきです」
「ダメだよ。たとえストーカーでも、無実の罪を着せられたら助けなきゃ」
「マナキちゃん・・・」
「つまり、ストーカーは悪くねえのか」
「その言い方は語弊があるぞ」
ストーカーは立派な犯罪である。
「襲撃犯に心当たりは?」
「聖女様を狙う輩は大勢います、見当などつけようがありません」
「そうなのよ。わたしって救世主の末裔だし、すっごいカワイイし、女児人気ナンバー1だから、色んな人に狙われちゃうんだよね~」
マナキは困った顔で溜め息をついた。
「その割には随分余裕だな」
「『聖女』ですから」
(そういうところは変わらないな、マナキちゃん・・・)
ドヤ顔のマナキを見て、アゼルとボンゴラは呆れていた。
「だが内部犯の可能性もあるだろう。聖女がホテルに泊まること自体、
「その通りです。聖女様のご要望により、襲撃犯の存在は秘匿されています」
「今は『大事な時期』、
「だから
「みんなはまだ知らないけど、
「わかったよマナキちゃん。マンジロウさんの無実、この手で証明してみせる!」
「犯人はゲキアツにしてやるぜ!」
「確認だが、この案件を達成した際のスコアは?」
「最低でも、一人につき1000点は約束します」
「お前達!この案件、
アゼルのやる気が高まったところで、
三人はマナキが手配した高級車に乗り、マンジロウが収容されている留置所へ向かった。
車内では、アゼルが義手をメンテナンスし、マナキはボンゴラにくっついている。
「いやー、お前に幼馴染がいるってのは聞いてたが、まさか聖女様とはな」
「何で隠してたんだ、水臭いぞ!」
「いや・・・隠さないと色々大変だし、自慢するのも違うし・・・」
「それよりボンゴラ、白状しろ!」
「え!?な、何を・・・?」
「決まってんだろ、マナキとのナ・レ・ソ・メだよ!」
「え~ボンゴラくんどうしよ~?」
意外にもカネリは、仲間の恋愛事情に興味があるようだ。
一方マナキは赤面しているが、満更でもない様子だ。
「いや・・・言って・・・いいの?」
ボンゴラはマナキの許しを得て、話を始めた。
「おれが孤児院で暮らしてた頃、近くに大きな屋敷があって大人たちに近づかないよう言われてたんだ」
「でも9歳の時、友達との肝試しで屋敷に入って、中にいたロボットたちにすごい勢いで追いかけられてさ」
「おれは怖くて必死で逃げ回って、その末にマナキちゃんと初めて出会ったんだ」
「あの時のボンゴラくんは、顔中が涙と鼻水とよだれでいっぱいだったんだよね~」
「え、そんなにひどかった!?」
「早く続きを教えろ!」
「マナキちゃんがロボットから匿ってくれて、その代わりに一緒に遊んでほしいって言われたから、夕方になるまでずっといたんだ」
「何して遊んでたんだ?」
「
「わたしが
「あの頃のマナキちゃんは聖女候補で、普通の子たちから離れて勉強や修行ばかりしてたから、ずっと寂しかったんだ」
「それでほっとけなくて、大人たちの目を盗み何度もマナキちゃんに会いに行った」
「あの頃は人助けとか、
「ね~」
「でも、マナキちゃんが聖女に決まってから、今日まで会えなかった」
「おれが救世主を目指すのは、おれ自身の夢であり、マナキちゃんと一緒に人助けをするためなんだ!」
「ありがとうボンゴラくん、とっても嬉しい!」
マナキは感激のあまりボンゴラに再びくっつき、ボンゴラは顔を真っ赤にしていた。
「なるほどなあ、最ッッッ高にゲキアツじゃねえか!!」
「だが!救世主になるのは、このオレだ!!」
「悪いけど・・・それだけは譲れない」
ボンゴラは赤面しながらも、その目は決意で燃えていた。
「皆様、もうすぐ到着します」
「ボンゴラくん、わたし今日もお仕事あるからまた後でね」
「がんばってねマナキちゃん」
「それとカネリさん、わたしとボンゴラくんの関係はヒミツだよ!」
「おう、またな!」
マナキを乗せた車は留置所から移動し、
果たして
To be next case
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