第38話 謎の剣士

 身体中を冷たい風が通り過ぎていく。不思議と恐怖は感じなかった、只々この風が心地良く感じた。すると、上からロボットが降ってきた。

「やっぱり知能は低いんだな」

 崖上から一体、また一体と降ってくる。

「簡単な命令と殺意で動いているんだな。もう十分だよな」

 フックショットを取り出し、崖上の木に撃ち込み、崖の上に上がる。

「よっこらしょと。結構、落とせたな」

 ガサガサ

「チッ、クソが、まだいたのか」

 肩からスペツナズナイフを抜く。同時に、ロボットが茂みから出てきた。

シューウ ザッ

 振り降ろされたナイフを躱し、コアにナイフを突き立てる。

「まだまだいるのか、クソが。あっそう言えば」

ガサゴソ

 そして取り出したのは、さっき鹵獲した改造されたトランシーバー。

「確かこの数字だったな」

 周波数を合わせる。するとまた茂みからロボットが出て来た。しかし、こっちには目もくれず、周りを見渡し、キョロキョロしている。

「成功したか?」

 ロボットの目の前で手の平を振る。………どうやら、成功したらしい。

「これであいつらも少しは楽になったろ。さて次は、僕を殺そうとする不届き者を探すとするか」

 フラッシュライトを取り出し、辺りを照らす。

「うわっ、眩し!」

 目が少しずつ刺激に慣れてきた。

「さて、次は僕の命を狙う不届き者だな。確かこの方向にいるって、こんぶが言ってたな」

 時計を取り出し時間を確認する。

「4時40分、夜明けまで後三十分前後か(正直、救助が来るまで待っても良い。でも、何回もこんな事されたら、流石に困る……、自分に降りかかる火の粉は振り払うべきだな)」

 そして僕は敵の方向に歩き出した。

「ん?誰か叫んだか?」

 進み出して間もなく、誰かの声が聞こえた。

「助けてぇー!」

「あん?女性の声か(こんな山奥に民間人がいるのか?まぁ、そんな事より人命救助だ)」

 直ぐに声のした方向に走って駆けつける。

「いた、アレか」

「誰か助けて!」

 女性が叫ぶとほぼ同時、男が持っていた刀を振りかざす。

「マズイッ!」

 カランビットナイフを腰から2本抜き、一気に足に力を入れ踏み込む。

キーンッ

 ギリギリガードが間に合った。

「おい!あんた、早くここから離れろ」

キリキリキリ

 しかし、ガードは間に合ったがいつまで持つか分からない、両手剣相手にナイフでガードはキツかった。

「フンッ」

 金的を狙い蹴り上げるが軽々とかわされた。

「日本刀か、古流な野郎だな」

「天宮 永夢、会いたかったぜ」

「そうか、満足したなら早く帰れよ」

「帰る訳無いだろ!」

 男が刀を構え、前に踏み込む。

「(この構え、足捌き、コイツまさか…)」

 一瞬で距離を詰められ、鋭い斬撃が飛んできた。



 



 

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