第28話 墜落

「なんだアレ雲か?」

「一三、お前バカか?雲は自然下で最低でも高さ2000mに出来るって、お前習わなかったのか」

「(僕も雲が出来る高さは知らないな※中学で習います)」

「永夢、俺の鞄から双眼鏡を取ってくれ」

「あぁ、分かった。って、言われても青木、お前の荷物多いから、何処にあるか分からないぞ」

「2番って書いてるやつだ」

「あ、コレね」

 バックから双眼鏡を取り出し、青木に手渡す。青木が双眼鏡を覗く。

「なんだ、ありゃ、カラスか?」

「青木貸してくれ」

 双眼鏡を受け取り、自分も覗いて見る。

「本当だ、カラスだ。立川さん、避けた方が良いですよ、プロペラに巻き込んだら大変な事になります」

「永夢くん大丈夫だよ、アイツらが勝手に避けてくれるよ」

「そうですか、でも妙だな」

「何がだい?」

「そうだよ、兄ちゃん。ココは上空200m何でしょ?カラスがこんな上まで飛んで来るかな?そもそも、あんな後ろの景色が見えないぐらいの数で居るのも可怪しい」

「そうです、立川さん早く高度を下げましょう(ソレ+喜太郎のフラグ発言があるからな)」

「快斗が言うなら、分かった」

 海智さんが少しずつ高度を下げ始めた。しかし……

「何でだ?カラス達も高度を下げていやがる」

 カラスがものすごいスピードでこっちに迫って来る。

「マズイ、巻き込まれるぞ!!海智さん早く避けて下さい」

「やってるよ!」

バァン

 海智さんが窓を激しく叩く。

「あぁ、もうダメだ……バードストライクだ」

 カラスの群れに突っ込むのと同時、窓の外が赤く染まる。その次の瞬間、体が一気に重くなる。

「うっ、頭が…(何だ?一瞬体に電気が流れた様な気がする、気圧が急に変化したからか?)」

「メデー、メデー、コチラ28番、高度を上げる事が出来ない、このまま不時着する、救助を要請したい」

 海智さんが無線で本部に連絡するが、返事は帰って来ない。

「ちっ、クソがEMPか」

「海智さん、ヘリコプターはプロペラが止まっても滑空は出来るはずです、早く何処かに着陸して下さい」

「元晴くん、その通りだ。でも、もし緊張着陸に失敗したらどうなる?市民を守るのが僕らの仕事だ、今から山に不時着する。なぁに、心配するな、俺がこの場にいる限り、お前達未来ある若者は絶対に死なせないからな」

「分かりました、海智さん、頼みますよ」

「なぁ、お前ら」

「どうした?一三?」

「俺の能力、、、分かっているよな?」

「そりゃあ、知ってるよ、ヒクイドリだろ?」

 上下激しく揺れる機内で一三が当たり前な事を聞いて来た。

「急にどうした?気でも狂ったか?」

「ヒクイドリ、、、つまり鳥だ」

「だから?」

「俺は空を飛べる!!」

「は!?」

 そう言うと一三はシートベルトを外し、座席から立ち上がった。

「それじゃ、皆!この天才に任せてくれ、救援を呼んで来るかな!!」

「お、おい、待て死ぬぞ、お前の能力の鳥は…」

 最後まで話を聞かす、一三は飛び降りた。

「死んだな、アイツ」

 その次の瞬間、青木の分身が突然現れた。そして、ヘリ内に入っているパラシュートを手に飛び降りた。

「なぁ青木、間に合うのかあれ?」

 すかさず、本体に聞く。

「助かるかは、分からない。でも、やってみないと分からないだろ?」

「なんだよ、その自信わぁー」

 体に凄いGが架かる。

「(クソ、体が重くて千切れそうだ)」

「皆ぁ、耐えてくれぇ」

 ものの数秒が何時間にも感じる。どれぐらい経っただろうか、外を見ると緑が見えて来た。

「もうすぐ、不時着するぞー!気をしっかり持てよ!お前らぁ!」

 木々が折れる音がすると同時に、体にものすごい衝撃を感じ、僕は気を失った。






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