第27話 兄さん

 装備を整えた後、僕らは屋上に向かった。

「君たちが高校1年生の部隊だね?私の名前は立川 海智(たちかわ かいち)、快斗の兄だ。家の快斗がいつも世話になってます」

「いえいえ、こちらこそお世話になってます」

「快斗?何か困った事があったらすぐ、兄ちゃんに言うんだぞ」

「チッ、うるせぇな」

「あぁ、ごめんね」

「そんな事良いから早く出して」

「了解」

 快斗が命令すると、海智さんがヘリの運転席に乗り込みエンジンをつけた。すると、少しずつターンが回り始めた。

「ほら、君たち早く乗って、シートベルトをしっかり付けろよ、落ちても知らないからな」

 ヘリに乗り込み、シートベルトをつける。

「それじゃ、出発するぞ。西成まで二三十分かかるから、少し雑談でもしようか。君たち、快斗とはどう言う関係?」

「兄さん!やめてよ」

「別に、聞いてもいいだろ」

「うるさい、なら、俺はもう兄さんと会わないぞ」

「分かりました、もうこの話しはしません」

「おい!快斗、流石に言い過ぎだぞ」

 元晴が快斗の事を指摘する。

「いや、良いんだ。僕が悪いから」

「どうしてですか?」

「僕と快斗は年が15歳も離れていてね。僕が君たちと同じ時に快斗が生まれたんだ、そんな弟が可愛くて可愛くて、くっつき過ぎたんだよ」

「快斗?こんな僕みたいに良い兄貴(※そんな訳わ!byカズ)なんだから、もうちょっと優しくしてやりなよ」

「うるせぇな、永夢、しばくぞ!!」

「あん?やんのか?ゴルァ?無能力者のお前が僕に勝てるのか?」

「まぁまぁ、永夢落ち着いて。あ!そうだ、永夢お前、この前退院したら三年間何してたか話してくれると言ってたな」

 元晴が上手いこと話を逸らしてくれた。

「そう言えば、そんな事言ってたな」

「今、暇だから話してくれよ」

「あー」

「何その話、俺も聞きたい」

「青木も?んー、話すと長くなるからな、また今度だな」

「は?お前逃げる、のか?」

「逃げてねぇよ!」

 少しの沈黙が走る。

「そうだな、この任務が終わってからだな。今週末僕の家に来て、その時に飯振る舞ってやるから、食いながらゆっくり話すよ」

「なんだよ、ソレ〜、フラグか?」

「お前が言うな!!!」

 一同全員が喜太郎にツッコミをする。緊張感が漂う場が少し和んだ。

「そうだよな、このヘリが墜落とかしない限り、俺ら死ぬこと無いよな。あはは」

「あ、、、」

「嘘だろ」

「終わった…」

「大丈夫、三分の一の確率で悪い方に転ぶから」

「どうしたの皆急に慌てて」

 喜太郎の冗談に場の空気が一瞬で凍りつく。

「ん?なんだあの黒い影は?ココは上空200mだぞ?」


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