第20話 最強の男

 教室に戻ると何やら騒がしくなっていた。

「おい!永夢が帰って来たぞ!!」

「ん?見覚えがあるな」

「おー、永夢久しぶりやなぁ〜〜」

「(うわっ、めんどくさ)」

 中年男性が話し掛けてきた。

「マメレオさん、何か用ですか?学校にまで来て、任務がいっぱいあるでしょ?」

「まぁまぁ、そんな事言わずに」

 この男は政府軍最強の男、西園寺 豆(さいおんじ まめ)能力はPhoenix(不死鳥)だ。そう、つまり不死身だ。体の一部が欠損しても炎ですぐに再生する。マメレオの名は何故か彼がそうなのっている。

「で、何しに来たのですか?」

「あぁ、じゃあ単刀直入に言う。永夢前にも言ったと思うけど、お前をスカウトしに来た、うちの部隊、4seznに来ないか?」

「………」

 周りがザワザワと騒がしくなる。4seznとはマメレオが隊長の精鋭部隊である。

「まだ答えは出さなくて良い、ただ少しでも良いから考えといてな、それともう一人いるんだ、君の弟の一もスカウトしに来た。居ないみたいだけどどうしたんだ?」

「この前の任務で負傷し現在入院中です」

「ほぉ、そうかじゃあそろそろ時間だから」

 そう言った次の瞬間、マメレオの背中から神々しく光る翼が生える。

「ほんじゃ、皆勉強頑張れよバイバイ!」

 窓から飛び出し、ものすごいスピードで飛び去って行った。

「なぁ、永夢」

「ん?どうした?」

 クラスメイトの一人が話し掛けて来た。

「お前どうやって、あのマメレオさんに気に入られたんだよ?」

「(うわ、めんどくせぇあのオッサン何で学校でスカウトしに来出るんだよ)」

 そこからクラスメイト達の質問攻めにあった、適当に答えていると、一つ気になる会話が聞こえた。

「なぁ、一はまだ分かるけど、何で永夢なんだよアイツ最近まで学校来て無かった不良だろ?普通幸太だろ?」

「(失礼だな、ていうか幸太って確か聞いた事あるな。確か中学3年生の後半で来て今では1組の幸太、2組の一の二人エースになっているんだっけ?)」

 そうして受け答えしていると、一人ひときわ目立つ奴が話しかけて来た。

「まぁまぁ、そう言うなって、僕より才能があるんじゃない?でも、僕を出し抜いてマメレオさんに気に入られているなんて、ちょっとだけ許せないな、僕より強そうには見えないけど」

「あん?なんだとお前僕が弱いって言いたいのか?(コイツが幸太か、とりあえずメンチ切って見るか)」

「あぁ、ごめんごめん、違うんだ僕が来た時に君は居なかったでしょ?だから僕は君の強さを知らないんだ」

「へぇー、そうなんだ(意外とまともだな)」

「良かったら今度手合わせお願い出来るかな?」

 そう言うと優しい笑顔で手差し出し、握手を求めて来た。

「あぁ、別に良いよ僕は」

「良きライバルになる事を期待するよ」

キンコーン

「あ、チャイが鳴ったぞ、皆早く席につけ」

「え、嘘?僕まだご飯食べて無い」

 時計を見ると1時25分を指していた。そのまま地獄の授業が始まった。




 

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