第19話 疑惑

 次の日の朝、制服を来て学校に行った。

「おはよう」

「………」

「(いきなりシカトかよ、殺人鬼には口無しか)」

 教室に入ると皆に白い目を向けられた。

「(なるほどな、噂はもう広がっているわけね。さて、どうやって弁解するか)」

 自分の席に鞄を置き、隣の空席を見つめる。

「(このクラスで怪我したのは僕と元晴だけか、貧乏くじ引いてやったのにこんなのありかよ)」

 チャイムが鳴り、ホームルームが始まった。

「えー、皆さんおはようございます、そして、任務お疲れ様でした。今回の任務は民間人の救助でしたが残念ながら怪我人がでました、えー怪我人は、このクラスの出井 元晴と天宮 永夢、そして隣のクラスのエース城守 一です」

 その話を聞いた教室の中が騒がしくなる。

「え?嘘、あの城守さんが重傷?」

「あの狡猾な元晴がやられたのか?まさか、そんな事ありえない、だって二人は……」

「はい!皆静かに!」

 五十嵐先生が皆を静止させた、クラス内が静寂で包まれる。

「貴方達ならどうします?この様な状況になったらどうしますか?」

「え?」

「もし、自分が同じ状況に陥ったらどうしますか?二人が負傷して動け無い、そして2対1の不利の状況、貴方ならどうします?橘さん」

 一人の生徒が指名された。

「え?いや、えーと」

「すぐに答えは出ないですよね。そもそも、君たち一年生は後方支援が約目です、戦闘なんて想定していない。その上、相手を拘束するのはとても難しい事です、相手より技量が上回っているか2倍ほどの戦闘力の差が必要です。だから、貴方達は戦闘を避ける様に命令されました」

 教室内の生徒達が静かに先生を見つめ、ゆっくりと頷いた。

「つまり私が何を伝えたいかと言うと、皆天宮くんを責めないで下さい。もし、私が貴方達と同じ年なら同じ事をしていたと思います」

 そうしてホームルームは終りそのまま授業が始まった。

「(意味わかんねぇー)」

 授業の内容の理解に苦しみながら授業が終わった。直後、お昼休み時間に青木と共に五十嵐先生に呼ばれた。

「五十嵐先生何の用なんだろね?」

「青木、お前も大体分かっているだろ?」

「あぁ、大体見当はつくよ」

 そのまま二人は個室に通された。

「五十嵐先生何の用ですか?」

「二人は知っていると思いますが、現在、生徒達の情報が流出しています。その件について聞きたい事があるんです」

 大体察してはいた、あの時の違和感が頭を過ぎる。

「その事ですか、、、永夢ごめん、最初は君を疑っていた、本当にごめんな」

「お、おう(青木の奴酷えな)」

「天宮くん、前の組織での心当たりは有りますか?」

「無いですね、そもそも僕はあそこから足を洗いました、今更情報を流した所で何のメリットも無いですよ先生」

「そうですか、分かりました。青木くん、一つお願いがあるんですけど、良いですか?」

「はい、もちろんです」

「あなたの能力で小さなクローンを作れますよね?ここで作ってみて下さい」

「分かりました」

 そう言うと青木がメガネをかけた。次の瞬間、机の上に手のひらサイズの青木が現れた。

「うわっ、キモコイツ」

バシッ

 本体に叩かれた。

「このクローンを何体か作って私が言った指定の場所に配置して貰って良いですか?」

「了解しました」

「天宮くんはもう帰って貰っていいですよ、時間取ってごめんね」

「はい」

 そうして僕は部屋を後にした。



 


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