第17話 理想と現実

 次の瞬間、体に灼熱の痛みが襲う。

「ゴフッ、痛ってえなぁゴラァ!」

「うぉぉ!!」

 そのまま琳が山鎌をひねり僕の体を引き裂こうとする、その既のところで僕は琳の腕を掴む。

「タダで腹刺させるかよ、ゴフッ、腕一本置いて行けやぁー!」

 星のお腹を蹴り抜き、その反動でナイフが星の腕から抜けた。そして琳の目の前で銀閃がはしる。

「アギャアー、うっ腕がぁー!」

 琳が残った手で山鎌を回収したと同時に激しく吐血した。

「ゴフッ、まだやるか?今降参したら命は保証してやる(ヤバイな、腹の傷が深すぎる、止血しねぇと共倒れだ)」

「降参するわけ無いだろ!」

「そうだ!私達は夢のためここまで来たんだ、ここで引き下がれるか!」

「ハァハァ、しつけぇな」

 その時、二人の背後に影が現れて思わず笑みが溢れた。

「フッ、カズ、おはよう」

 次の瞬間、辺りが白い光りで包まれた。

「吹き飛べやぁ!」

ドォーン

 そして「また」自分もろとも吹き飛ばされた。しかし……一つ問題があった、それは星と一緒に飛ばされた事だ。そして、星が僕の頭の近くで立ち上がりハンマーを振りあげる、その腕はプルプルと震えていた。

「игра законченаだ!」

「(ヤバイ、死ぬはコレ)」

 死を覚悟した次の瞬間、銃声が鳴った。

パァーン

 その銃声の元を辿ると、そこには銃口から煙が出ているC96を片手で構えた元晴の姿があった。

「ガハッ、俺を忘れてねぇかお前ら、永夢、ゴフッ、コレで借りは返したぞ」

 元晴の凶弾をくらった星が倒れる。そのまま永夢が立ち上がり、もたつく足で星の元に駆け寄る。

「コレは?」

 足元に落ちていたのはカズが愛用しているベネリM4だった、ソレを拾い上げ星の頭に向けて構える。

「ゲームオーバーだ」

 そして無数の冷たい鉛玉が星の頭を引き裂いた。その時、琳が叫ぶ。

「старший брат!貴様ぁ!!」

 琳が足を震わせながらこちらに歩いて来る。すかさず僕は琳の足目掛けて散弾を連射する。

「ウァァー!」

 あまりの威力に琳の片方の足が吹き飛んだ。僕はカランビットナイフを腰から抜き、琳に近づいてナイフを首元に当てる。

「おい!あのお方って誰だ?さっさと言わねえと、お前の兄貴見たいになるぞ?」

「ペッ!言うわけ無いだろ、отброс!」

 琳が僕の頬に血の混じったツバを吹きかけた。

「そうか、人間死ぬ時ってあっけない物だな、じゃあ死ね」

 琳にトドメを刺そうとした次の瞬間、辺りが謎の煙に包まれた。

「(何かヤバイ、早くここから離れねぇと)」

 すかさず、そこから退避する。

「運が良い奴だなお前」

「誰だお前?厨二病か?マント何か羽織やがって」

「うるさいわ!コ レ は 演出分かる?」

「メタ発現は良くない、マントくん」

「お前ふざけてんのか?」

 そして奴は琳を担いだ。

「おい、ガハッ、待て何するつもりだ(そもそもコイツの能力はなんた?風の様に現れやがった)」

「琳さんはまだ使える、あのお方の指示だ、それじゃあまた会う事を待ち望むよ、天宮くん」

「貴様ぁ!」

 すかさず六角手裏剣を投擲するが、六角は空を切っただけだった。

「何だったんだ、アイツ?まあ良い、いや、、良く無いか。それよりこんぶがヤバイな」

 腹の傷をキツく包帯で縛りこんぶに肩貸す。

「おい!カズ歩けるか?」

「あぁ、ギリギリな」

 そして歩き出すと目の前に車がきた、中に目をやると、中には青木とあの時助けた女性が乗っていた。

「3人共大丈夫ですか?」

 青木が駆け寄ってくる。その時、なんとこんぶが僕の肩を振り解き女性の元に向かった。

「あの、主人は?」

「すみません…助ける事が…出来ませんでした」

 そう元晴が謝った。次の瞬間、女性が元晴にビンタをした。そしてこう罵倒した。

「この役立たづ共が!私達国民が高い税金納めて生活してるのに、この様か?」

「(コイツ、僕らは命懸けで戦ったのに、ふざけてるのか?)」

 頭に血が昇るのを感じると同時に目眩がやって来た。

「(アレ?何だコレ?の、能力を使い過ぎたか)」

バタンッ

 そのまま僕は地面に倒れてこんだ。


 




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