第15話 迷い

※この回は城守 一(しろもり かず)視点の回です。過去回想も含みます。

「(永夢の奴、平然と殺すと言いやがって、昔しのアイツなら絶対に言わんのに)」

 星がハンマーを振る直前、星の腹にニトログリセリンを撒く。

「吹きとんどけぇー」

 しかし、星は吹きとんでおらず、そのまま強引にハンマーを振る。

「クッッ、嘘やろ!(なんや?何か一撃がめちゃくちゃ重い、バリアを一点に全集中せな破られる)」

「мальчик、一点を集中し過ぎだ」

 次の瞬間、星の頭突きが飛ぶ。

「うおぉ、、、」

 星の鋼の頭突きを喰らい、盛大に鼻から血が噴き出した、そのままカズが大の字で倒れる。

「(何やこの感覚、昔にも味わった様な気がする)」

 その時カズの頭に過ぎったのは遠い昔の記憶。

「おら!」

「痛ったー、クソ兄貴やり過ぎだろ!」

「何やぁカズ?喧嘩を吹っかけたんお前やろ?後、今クソ兄貴って言ったな、コレで手打ちにしようと思ったのに残念やなぁ〜〜」

「ご、ごめん!許してくれ」

「いやや」

 (そういえば昔はよく永夢と喧嘩してな、ようさん負けたけど。俺ら兄弟は双子で顔も体格も体重もほぼ一緒やった、でも永夢は違った、アイツは俺より頭は悪いがその分ズル賢かった、だから、技量も技術も永夢の方が上だった。ソレが悔しくて、俺は必死に努力した、何度も何度もめげづに頑張った。その結果は小学五年生の後半に現れた、俺に能力が発現したんだ、そこから俺は学校で持て囃された。でも勝てなかった、何故なら後から永夢にも能力が発現したからだ。それでも俺は努力をして学校の優等生に成った、周りから尊敬されて凄く楽しい日々だった事を覚えている。でも、どうしても永夢に勝つ事ができなかった。そして月日が流れ中学生に上がったころ、永夢があの事件を起こした、それから永夢は家を出って行った。そこからの中学校生活は楽しかった、後輩にも慕われ、周りにも尊敬されたし、先生にも凄く気に入られた。でも、心に何か一つポッカリと空いた穴があった、ずっと忘れていたあの頃の記憶、そうだったな、今思い出した、俺は、俺は)

「俺は兄貴を超えるんやぁーー!」

 そしてハンマーが振り下ろされる直前、左手を差し出しそこにバリアを全集中させる。

カキンッ

「ッ、何?受け止めただと!」

「離れろよこのクソロシア人がぁ!!」

 自爆覚悟でニトログリセリンを星の足元に撒き散らす。

ドォーン

 そのまま星は吹き飛んだ、カズはギリギリ自分の周りにバリア作って身を守った。そのまま立ち上がろうとする、しかし……

「うぉ、何か視界が回ってる」

バタン

「(ヤバイ、脳震盪か頭突きが利いてやがる、目の前が真っ暗や)」

 カズはその場に倒れ込み気絶してしまった。



 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る