第11話 鉄の兄弟

「そいつから離れろ、クソども」

「ハァハァ、永夢なんでここに」

「すげえ爆音がしたからな、手榴弾なんて規則違反な物持ってんのお前か敵しかいないからな」

「バレてたか」

「当たり前だろ、妙にポケット気にしてからな。ところで敵の能力は?」

「あぁ、、鉄だ。基本的に攻撃は弾かれる、意識外からの攻撃か関節部分を狙うかだ。ガァハ、ハァハァ」

「分かった、もう喋らなく良い。立てそうか?」

「すまん、ちょっとキツイわ」

「じゃあそこで休んどけ、寝るなよ!(出血がマズイな止血しないと死ぬぞ。でも、動け無いなら逃げるのは無理だな。僕が一人でこの二人を相手するしか無い。応援は望めないから短期決戦だな)」

 律儀にも相手が待ってくれるはずもなく二人が突っ込んでくる。僕は前に出て腰からカランビットナイフを一本抜いて右手に持つ。先に山鎌を持った方が左からやって来た。

「ハァー」

 左手に力を込め指先に電気を走らせる。

バァコオン

「(なんだ?今の音)」

 山鎌を持った男が爆音を立てて止まっている。何か違う手応えを感じつつもう一人の方に目をやると。……ソイツはこんぶに向かって走って居た。

「させるかよ!」

 そう言うと僕は左手から六角手裏剣を取り出し、ハンマー男の膝裏めがけて投げる。

ザクッ

 手裏剣は見事命中し、男の動きが止まった。

「(今なら行ける!)」

 そう思い後ろ向いて膝混付いている男の首にナイフを突き立てる。

「сладкий!」

 そう簡単にトドメ刺させてくれるはずもなく、男がハンマーを後ろに振り回して来た。

「チィィ」

 間一髪その攻撃を避けると、後ろで何か殺意の様な物を感じた、振り向くとそこには山鎌を振り上げた男がいた。

「嘘だろ、おい!アレ食らって動けるのかよ」

 そう言いながら山鎌をナイフで受け止めた。

カキンッ

 そして繋がる様に、後ろからハンマーが飛んでくる。空気が揺れるのを感じながらギリギリ回避し、距離を取った。

「(なんでだ?たしかに電気を流したはずだぞ。まさかあの音、地面に帯電させたのか、だとしたら厄介だぞ、多少動きを止める事が出来ても、もう片方が必ずカバーしに来る、一体どうしたら良いんだ?)」

 この兄弟が考える時間をくれるはずも無く、2対1の不利な状態が続く。

「(鎌の方は最悪食らっても良い、でも、ハンマーの方は食らったらただじゃあ済まないな。なら、答えは一つだ、鎌の方を先に潰してその後にもう片方をやる)」

 そして僕はもう一つの能力を解放した。

「コレでも喰らえよ」

 髪の色が変わり、その瞬間空中に氷の柱が出現した。その氷の柱が二人を分断する。そのまま切り合いに持ち込んだ。

「(コイツらに効くのは関節えの攻撃か意識外からのだ、ならコレしかねぇ)」

 斬撃の合間に僕は拳を入れた。

「そんなの効くわけねぇだろ!」

 男の顔が銀色に輝く。

「ただのパンチじゃねえよ、バーカ」

 そう言うと僕の拳から指が2本伸びた、指先が男の左目に届いた、生ぬるい感覚がルート指先に伝わる。

「ギャアー」

 男が悶絶しながら、顔を押さえる。その時、僕は少し警戒を怠ってしまった、目の前の戦闘に集中し過ぎてしまっていた。気が付くと後ろにハンマーを振りかざした男が立っていた。

「(嘘だろ、音も無く一瞬で。マズイ、体制が悪い)」

 もう避け切れないと思い僕は覚悟を決めた……。





 





 





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