第8話 任務開始

 輸送車の中でこんぶがずっと何かをいじっていた。

「何してんだ?こんぶ?」

「ん?あーボックスマガジンに弾込めしてるんだよ、お前らも手伝え」

「お前M249なんてただでさえ重いのに、マガジン4つも要らないだろ、2つあったら十分だろ」

「いやー違うんだよなーソレが」

「じゃあ、何なんだよ」

「弾幕こそが全てなんだよ」

「答えになってねぇよ、バカ」

「俺にはな、M249かM249以外かなんだよ」

 どっかの旧ホスト業界の人の名言を真似してるみたいだが、ちっとも響かない。すると、五十嵐先生から無線が入った。

「えー皆さん、高校生になってからの初任務、緊張しているでしょうか。今回の任務は民間人の救助です。一様武器を持っていますが、出来るだけ戦闘は避け、先輩や特殊能力部隊の人に任せて下さい。では、健闘を祈ります」

 無線が終わると現場に着いた。外に出るとそこは地獄その物だった。荒廃したビル、傷だらけの人々がよこたわっている、恐らく何人かはもう助からない。

「何じゃこりゃあ」

 あまりの悲惨さに立川が言葉をこぼす。

「コレが現実だ、諦めて認めろ、人はいつか死ぬんだよ」

「お前、良くそんな事言えるな!」

「俺はあくまで本当の事を言っただけだ」

「なんだと?」

「まぁまぁ、落ち着け二人とも」

 ヒートアップしていると青木が静止してきた。

「永夢が言ってる事は良く分かる、でも、立川の反応は普通の人の反応だ。永夢、お前なんでそんなに落ちついていられるんだ?」

 僕が何か言い返そうとするが青木が先に口を開いた。

「まぁそんな事今どうでも良いか、そんな事より市民を早く救助しに行くぞ」

 そう言うと青木はメガネをかけた。その瞬間、隣から青木のクローンがでてきた。

「史は僕の分身体1人と一緒にここに残って民間人を手当てする、立川は分身体3人と一緒に北に向かって下さい、永夢と元晴は分身体1人と南に向かって下さい。位置情報は全て車の中で確認します」

「了解」

 そうやって僕らは三チームに別れて行動する事になった。そして進んでいると足に酷い怪我を負った女性を見つけた。

「大丈夫ですか?」

「助けて、下さいお願いします」

 僕は自分のポーチから止血帯を取り出し、太ももの根元をキツく縛った。

「(切り口がきれいだ、何で切られたんだ?)」

「夫を助けて下さい、お願いします」

「え?」

「夫が私を逃がすために囮になって、何処かに走って行きました」

「分かりました、任せて下さい、青木この人を運んでやってくれ」

 こんぶが女性の手を強く握って強く言った。

「分かった、二人共気をつけてな」

 そう言って青木が女性を背負い走り去って行った。青木が走り去った後こんぶが話し掛けて来た。

「なぁ、永夢?」

「どうした?」

「二手に別れねぇか?」

「は?いやいや、それは駄目でしょ」

「いや、良いんだ多分そっちの方が効率が良い」

「分かった、絶対に死ぬなよこんぶ」

「当たり前だろ」

 そう言って僕らは二手に別れた。

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