第16話

第2音楽室に近づくが、

今日はピアノの音が聴こえてこなかった。


ドアに手をかけてみると、

鍵は開いていた。


ピアノの方を見るが、

昨日見た彼女は見当たらなかった。


…とよく見ると

ピアノの影になって見えなかった

床に倒れている彼女が見えた。


倒れているのかと思い慌てて駆け寄り、

彼女を抱き起こそうとすると

「(スースー)」

……寝息が聞こえた。


思わずホッとした。

気持ちよさそうにしているのを

無理やり起こすのも可哀想だと思い

自分の鞄を枕がわりにし

寝かせてあげた。


寝ている彼女を観察していると、

目が覚めたのか、ゆっくりと目蓋が開いた。



(パチパチ)

(ジーッ)


お互いが目を合わせてそらせないでいると、

やっと状況を掴んだ彼女が、

慌てて飛び起きた。

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