第15話

のろのろと帰る準備をしつつ

第二音楽室が気になり、

どう春に切り出すか考えていた。


「…少し用事があるから先に帰ってくれ」


「え!一緒に帰る約束したよね??」


約束とはあの朝の一方的なあのことだろう。


「とにかく1人で帰れよ。」

と、東棟へ行くために足を進めると、


「どこいくの?僕もついてく!!」


ついてくるらしい春


どうしたものか…ハァ…と、ため息をつく


足を運ぶ先が東棟だと気づいたらしい春が

「ねえなっちゃん東棟になんか用事なの?」

と聞いてきた。


誤魔化すのも面倒になり、

正直に、「第二音楽室、昨日会った女がいるか見に行くだけ。」と答えた。


横を見ると目を見開く春


「‼︎なっちゃん、もしかして好き??気になる子できたの!??」


「好きじゃない、ピアノ弾いてたのが気になっただけ。」


「…ふ〜ん。そういうことなら、僕は先に帰るね!」と急に踵を返し手を振りながら来た道を戻って行ったのだった。

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