第3話
ファージーネーブルがあともう少しでなくなると言う時にマスターが、頼んだカプレーゼと生ハムを持ってきた。
『あれっ?桃ちゃん今日一杯目飲むペース早くない?あんまり強くないんだからゆっくり飲まないとダメだよ〜』
自分でもペースというのは気づかないようで、
注意された。
「大丈夫だよ〜強くなくても酔わないもん!」
『(そう言いつつ毎週酔ってんだよなぁ…)』
そんなことを思われているなんて知らず、
反論しカプレーゼを口に放り込んだ。
時々マスターと会話しつつお酒を飲む
これが決まって仕事終わりの
毎週火曜日の夜だ。
「(明日は何しようかなぁ)」
明日の予定を考えながら店内に流れるBGMの
ピアノジャズを聴いていた。
ふと、右に視線をそらすと、横顔は髪に隠れて見えないがやけに雰囲気の良い男の人が頬杖をつきながら1人お酒を飲んでいた。
マスターがその男の人に近付き、
『ユウキは同じのにする?違うのなんか飲む?』
と、親しげに話していた。
「同じの。」
色気の含まれた低すぎない声に
身体が痺れた気がした。
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