ペラペラ

 兄ちゃんはいつも僕に、「ラノベなんて読むもんじゃない。ただただ都合が良いだけの話なんて楽しくないだろ、薄っぺらいし」と言う。

 その割に、兄ちゃんの部屋には可愛い女の子に囲まれた地味な男子が描かれた漫画が何冊も積まれている。

「じゃあ、兄ちゃんのそれは何が違うの?」

「何も違わないよ」

 兄ちゃんは気だるげに顔を上げて笑った。へにゃ、という擬音が相応しい、力ない笑みであった。

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