気持ち悪い

 無限にも感じられた食事の後。

 静音が出ていった部屋で一人、何も言わずに僕は呆けていた。


「……」


 何が起きて、何でこんなことになったのか、まるで考えたくもなかった。


「……おぇ」


 部屋へと残された僕はただ、自分の心のうちに気持ち悪さを携えているだけだった。


「……」


 気持ち悪い。気持ち悪い。気持ち悪い。

 気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。


「おぇ」


 生まれて初めて、口移しをされた。

 そして、生まれて初めて、静音に対して、嫌悪感を抱いていた。

 口移しとは、あれほどまでに嫌悪感を覚えるようなものだったのか。


「……」


 内側から混み上がってくる吐き気。堪えようのない吐き気。


「……トイレ」


 それを吐き捨てるように、この部屋の片隅へと適当に野ざらしで置かれているトイレの方に寄っていく。

 両手から伸びる鎖はかなり長く、トイレまでも問題なく進むことが出来た。


「おぇぇぇぇぇええええええええええ」


 そして、トイレへとたどり着いた所で僕は胃の中のものを吐き出す。


「はぁ……はぁ……はぁ……おぇ……おぇぇぇぇぇぇえええええええええええ」


 胃の中のものを全て吐き出すかのような勢いで、僕はただただトイレに向かって吐き続ける。


「ははっ、あの子は、静音は一体何を作ったの?」


 そして、トイレに浮かんでいる嘔吐物。

 そこから伸びる胃の中にあったものとは思えない……そんなものの数々に僕は笑う。

 

「なんで髪まで入っているの?」

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