第三章 監禁少女
監禁
「ん、う、うぅん……」
ジャラジャラ……という鎖の音。
「ふわぁ……」
その音に叩き起こされるかのように、僕はゆっくりと目を覚ます。
鎖……鎖の音。鎖の音って割と落ち着く……このまま、二度寝しちゃいそっ……ッ!?
「いや、何の音!?」
自分を睡眠から一度は起こした鎖の音。
だが、思ったよりも心地の良かった鎖の音を受け、そのまま二度寝してしまいそうだった僕は慌てて飛び起きる。
僕の部屋に鎖なんてないし、スマホのアラームを鎖の音に設定していたりもしない。
「えっ……?」
何処から成っている音なのか。
それを確認するために慌てて飛び起きた僕は自分の周囲を確認して愕然とする。
「どこ、ここ……?」
目が覚めて、辺りを見渡してみれば、そこに広がっているのはまったくもって自分に見覚えのない空間が広がっていた。
僕が寝ていたはずの、自分の部屋。
そこにある何の変哲もない白い壁からは一転。僕の周りを囲っているのは鉄筋コンクリートで出来ていると思われるまるで温かみを感じられない冷たい壁だった。
そして、部屋の中にあるはずのテレビや机、PC類など、多くの私物は何処へやら。何もない殺風景な姿へと変わってしまっている。
そんな殺風景な部屋に唯一あるのが中央に置かれた、僕が寝かせられている一つの大きな天蓋付きのベッドだった。
「なにこれっ!?」
そして、何よりも、僕を困惑の渦へと叩き落としたの自分のことを縛りつけている鎖だった。
僕の両手には枷が嵌められており、その枷からは鎖が伸びている。その鎖は壁と一体化するような形であり、これを力任せに引っ込むようなことは出来なさそうだった。
「よ、良く寝られたね、僕はこの態勢で」
今、僕の体は両手が合わされているような恰好。
この状態で横になっていた僕はよくもここまでぐっすりと眠れたもので……。
「いやっ!?そんなことはどうでも……よくてっ!」
ここは何処だ。
この手枷は何だ。
今、僕はどんな状態にある……ッ!?
「起きたかした?輝夜?」
困惑と動揺。
それに支配された僕の耳に、一つの声が届く。
「……しず、ね?」
その声。
それを、聞き間違えるはずがない……間違いなく、聞こえてきた声は静音のものだった。
「それじゃあ、夜ご飯にしましょうか。丸一日眠っていたのだし、お腹空いているでしょう?」
僕が声をした方に視線を向けてみれば。
「……なんで?」
その先にいるのは、扉を開けてこの部屋へと入ってきた一つのお盆を持つ静音だった。
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