やるべきこと

 ───後悔しているのか。

 ───それすらも、わからない。


「今日は何をする?もう、学校はサボっちゃうよね?さすがにあの後にまた学校には行かないよね?」


「うん。というか、もう遅刻はしている時間帯だからね」


 わかりやすく、スキンシップが増えた環奈。

 それを僕は遠ざけず、受け入れて、言葉を返す。


「それじゃあ、何する?」


「僕と環奈がやることと言えば、もう限られているでしょ。どのゲームする?それとも、またカードゲームでもする?」


「……そうねっ。やっぱり、結局はいつもと変わらないものが一番よね」


「……」


 変わらない。いつもと変わらないのが一番……いや、そんなわけがない。

 何がどうなっても、どれだけ湧いても、時間は進む。

 どれだけ子供のままでいたくとも、環境がそれを許さず、勝手に僕たちを大人へと近づけさせてしまう。

 いつまでも、停滞し続けるなんて


「……新しいゲームでも探さない?」


「」


「いや、何となくの気分でさ」


 僕はスマホを取り出し、軽くスマホゲームのおススメを探し始める。


「えー、ソシャゲするの?もっとクリアできないような……大衆向けせずにひっそりと終わりを迎えたクソゲーやらない?」


「そんなのを好き好んでばっかやっていると、頭おかしくなっちゃうよ」


「それなら、私も輝夜も手遅れでしょ。二人で


「はは、違いない……」


 僕が停滞していても、周りは動き出す。

 だから、僕だって前に歩かなきゃいけない。

 理屈は理解した。

 でも、感情は理解を拒む。

 僕はまだ、歩き出すための一歩を踏み出せるほどに大人じゃない……でも、まだ、僕は高校生だ。


「ありがとね、環奈」


「……えっ?急に、何?」


「……」


 前を見るくらいなら、どんなに僕が愚か者の道化だとしても、出来ると思うんだ。


「……えっ!?そこで黙られちゃうの!?」


「環奈」


 ───何も答えが出なくとも。それでも、逃げちゃいけないことだけはわかる。


「また、何処かに遊びに行こうか」


「……うんっ!輝夜が誘ってくれるなら、何処へでもっ!」

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