逆レイプ
答えを告げようとした輝夜の口。
「……わかっているわよ。そんなこと。貴方がまだ、静音のことを好きなことくらい」
それをキスで強引に塞いでみせた環奈は言葉を絞り出す。
「……か、環奈……だから、僕はっ」
忘れられない。
忘れられていない。
何を受けても、今はまだ。
「でも、私だって諦めない……諦められないっ」
何でだろう。
危険だ。
そう思った僕は今の状態。環奈の下に引かれているような状態から抜け出すべく、体を動かそうとする。
「何処に逃げるの?」
だけど、それよりも前に僕は自分の両腕を環奈に捕まれる。
腹には環奈の膝が置かれ、圧迫される。
その環奈の動きからは、僕を絶対に自分の下に組み伏せようという絶対的な意思を感じさせられた。
「つっよ……」
思ったよりも、環奈の力が強い。
振りほどけな……いや、強引に振りほどいたら、環奈の方が……っ。
どれだけの力を込めて、環奈は僕のことを掴んでいるんだ。
「……環奈」
それほどまでに、それほどまでに……僕のことを?
何も勇気が出来なかった僕とは違って。
まだ、僕の想いは。
捕まった。危険だ。
環奈の想いはこんなにも強い。
様々な思いが僕の頭の中に浮かび、僕の体は止まる。
「ははっ、ねぇ?輝夜」
そんな僕を前に、環奈は笑った。
「……っ」
その笑みに、僕は瞳を取られる。
排他的で、蠱惑的。
歪み、傷付き。
だからこそ、目を離せない。
そんなひとみと、三日月のように割れた深紅の唇に息を呑む。
「レイプ犯と排他的で、背徳的な……底沼にまではまっていこ?」
振りほどこうと思えば、振りほどけた。
「……環奈」
体から力を抜く。
「ははっ!」
それでも、僕は拒めなかった。
良く言うのであれば、震える今にも壊れてしまいそうなから───。
■■■■■
僕の上に。
「あんっ……んっ、あん」
僕の上に環奈が跨り、艶やかに笑い、叫ぶ。
「いい……いいよ、輝夜も、気持ちいい?」
「……うん、気持ちいい……んっ」
「アハッ!」
そして、それに僕も飲まれていた。
……。
…………。
どれだけの時間が流れたのだろうか?
窓から見える外の景色。
そこでは既に太陽が昇り、明るく照らされ始めていた。
「……輝夜」
ベッドに横たわっている僕の横で、裸の環奈が僕の名を呼び、僕の体に触れる。
「……うん、なぁに?」
「もう、今日休んじゃわない?疲れちゃった」
「そう、だね。もうずる休みしちゃおうか」
環奈の言葉。
それに対して、僕はそっと視線を逸らしながら、己の手を自分の背中で組みながら、……環奈の言葉に答えた。
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