それぞれで
環奈に一旦、自室から出ていってもらい、制服からラフな私服へと着替えた僕が彼女と共にゲームを始めてから早いことでもう五時間。
「……」
「……」
最初にやろうと話していたゲームのランク上げも終わり、僕が夕飯を作って二人で食べ、近所の小さく素朴な銭湯に行って汗を流して。
そんなことをしながら五時間を過ごして夜になった今。
「……」
「……」
僕と環奈は互いに無言となり、それぞれの積みゲーを消化していた。
「よし、クリアー。あと、ルートはいくつある?」
僕と環奈は常に同じゲームをプレイしているわけではない。
互いに持ち合わせている積みゲーくらいあるのだ。
「ふー」
一旦、一区切り着いた僕は息を吐き、そのままテーブルの上に置いてあるコップを手にとる。
そして、その中に入っていたお茶を飲み干す。
「よし」
喉を潤し終えた。
再び戦いへと身を投じるための準備は整った。
僕は自分の視線をゲームの方に戻す。
「ん?」
そんなことをしていた中、急に静寂だった僕の部屋の中に音が響き始める。
「……あんっ」
僕の家はそこそこ……いや、ちゃんと金を持っている家だ。
当然、リビングにもテレビはある。
その上で、うちの家には僕の部屋の方にもテレビがある。
ついでに言うと、両親の部屋にもあるので、僕の家には全部で3つのテレビがあることになる。
「あん……あん、あぁん!」
「えっ……?」
そんなテレビ。
僕の部屋にあるテレビは今、R18の声を響かせながら、肌色を映していた。
「は、はぁぁぁぁぁあああああああああああ!?」
な、なんでエロゲが……っ!?
つか、こんなエロゲは知らないぞ。僕の家にあるやつじゃあ……。
「な、何故?」
これまでは環奈も自分が持ってきたゲームの端末でやっていたのが、今の彼女はそれをやめていた。それで、環奈はテーブル方に端末を繋ぎ、音を出しながら大画面でゲームしていた。
そして、それでやっているのがエロゲ。
「いいっ……んっ、気持ちいい……あっ」
全国放送は出来ないであろう喘ぎ声が部屋に響く中に。
「えっ……?」
「……」
困惑の表情で環奈を眺める僕。
それと、頬を赤らめながらもエロゲを行う手を止めない環奈がいるのだった。
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