朝から環奈とカードゲームで盛り上がった後。


「どうだった?僕の昼ご飯は」


 昼頃となったタイミングで僕はお昼ご飯を作り、環奈へと振舞っていた。


「めっちゃ美味しかったわっ。料理が出来る、ってのは聞いていたけど、こんなに出来るんだねっ」


「ふふっ、それならよかったよ」


 環奈が僕の作った料理に満足してくれたならよかった。

 

「この後もカードゲーム続ける?」


「輝夜はどうしたい?」


「えっ?このまま続行したい」


 今、僕の中でカードゲームが熱い。

 迷うことなくプッシュだ。


「なら、やりましょっ」


「そうだね……っと、その前にジュースか何かを買ってこようかな。いつも作っている麦茶がもうなくて。今、うちに水道水くらいしかない。適当に何か大きなペットボトル買ってくるから、家で待っていて」


 既に僕は自分で作ったお昼ご飯を食べ終わっているけど、環奈はまだ食べ終わっていない。

 僕は食べるのが早い上にあんまり量も食べないようなタイプで、逆に環奈はいっぱいご飯を食べてくれる子だ。

 食べる速さにはかなり差がある。

 その時間のうちに何かジュースでも買って来ようと思って、僕は立ち上がる。


「……いや、それは別にいいんじゃないかしら?」


「飲み物ないのは不味いでしょ」


 さっさと上着へと袖を通した僕は合鍵を置いている自分の部屋の棚の方に近づいていく。


「あれ?なんか……僕の鍵ないな」


 そして、いつものように鍵を取って家を出ようとした僕は、その肝心の家の鍵がなくて首をかしげる。

 いや、なんで家の鍵がないの?


「別に鍵はいいんじゃないかしら?お留守番であれば、私がちゃんとするわよ?」


「あー、確かにそうだね。それじゃあ、行ってくるわ」


「……えぇ、行ってらっしゃい」


「ほい」


 僕は環奈へと見送られるような形で自分の部屋を出たのだった。


 ……。

 

 …………。


「ただいま」


 徒歩圏内のコンビニで二本の大きなペットボトルを買ってきた僕は家へと帰り、自分の部屋の方へと戻ってきていた。

 ここまで十分足らず……やっぱり、家の近くにコンビニがあるってのは便利だよね。

 

「おかえりなさい」


 二本のペットボトルを両手に持って帰ってきた僕に向かって環奈が声をかけてくると共に、一本だけすぐに持ってくれる。


「あっ、それとそう。輝夜の鍵、普通に部屋の中に落ちていたわよ?」


「あっ、そうなの?わざわざ探してくれたんだ。ありがと」

 

 自分の手の中に残った一本のペットボトルを机の上に僕は環奈が見つけてくれた家の鍵を受け取った。

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