第二章 拗らせヤンデレネッ友

気づき

 私にはずっと好きな人がいた。

 中学校に入ると同時にいじめられるようになって、そのまま引きこもったしまった自分……もうどうしようもないと、毎日絶望に暮れながら。

 そんな現実から逃げるようにやっていたゲーム。

 そこで知り合ったのが後に、たまたま高校まで同じで、家も近かったという奇跡を引き起こすことになる輝夜だった。


 そんな輝夜のことが、私は好きだった。


 私の交友関係は、中学一年生からの交友関係なんて、話す相手なんて、しかいなかった。

 もう、私の世界には輝夜しかいなかった。輝夜だけが私と触れ合い、私の夢を応援し、私に寄り添ってくれた。輝夜だけがこんなどうしようもない私の隣に来てくれる唯一の人だった。

 だから、どうしようもないほどの、好意を抱いてしまうのも早かった。

 ……。

 …………。

 自分でもわかっている。私は今、輝夜に依存しているって。


『どーしよ!今日も告白できなかったぁっ!?』


『……そっか』

 

『うぅ……今日も勇気が出なかった。また告白しようと思うだけで終わっちゃった』


『……』


『こんなにも好きなのに……好きって一言だけが出てこない』

 

 私だって好きだよ。貴方がその幼馴染を好きである以上に。

 私は輝夜が好きだ。私には輝夜しかもういないんだ。

 だから、置いていかないで。


『なかなか、言えないものだよね』


『でしょー?わかってくれる?……はぁー、いや、うん。言わなきゃ何も始まらないことはわかっているんだけどねぇ』

 

 この恋心は諦めるべきだ。

 だって、輝夜には、好きな人がいたから……それできっと、両想い。ずっと一緒にいる幼馴染になんて、勝てるわけがない。

 蓋シテ蓋シテ蓋シテ蓋シテ蓋シテ蓋シテ蓋シテ蓋シテ蓋シテ蓋シテ蓋シテ蓋シテ蓋シテ蓋シテ蓋シテ蓋シテ蓋シテ蓋シテ蓋シテ蓋シテ蓋シテ蓋シテ蓋シテ蓋シテ……毎日泣いて。


『失恋したぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああっ!』


 でも、もう泣かなくてよくなった。

 チャンスが、私の前に舞い降りた。 


 ……。


 …………。


 焦っちゃだめだ。

 今にも言いたい。

 でも、まだ引きずっている。

 だから、まだ待つ。でも、寄り添い続ける。

 そうすれば、その幼馴染以外に女の子の影のない輝夜の隣に、私が座れる。

 毎日、泣かなくて済む。

 

『いや、今日。久しぶりに静音が虐められいる現場を見ちゃったよ……一歩、間違えたら、僕が助けられないようなタイミングだったから、本当に肝を冷やしたよ。昔と同様、今日も守れて良かった』


「……ねぇ、輝夜」


 でも。

 ふと、気になってしまった。

 輝夜が既に過去の人とならなきゃいけない幼馴染を虐めの現場から助けた話を聞いて。


「輝夜が失恋を知ったのって、相手の告白を跨ぎ聞きして、だよね?」


「ん?そうだよ……というか、そこを抉ってくる?泣いちゃうよ?」


「……」


 疑問。

 一つの疑問が、湧いてきた。

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