Chapter 1-4 監獄エリア01
洋上フロートを出る事1時間半、監獄エリアの波止場に着いた。
水上バスを降りて波止場に立った私はその場にへたり込んだ。
「……ぅぅ、気持ち悪いです」
ハンター協会専用の水上バスは、乗客を荷物のように扱い、
通常の3倍ぐらいの速度で移動していた。
移動というより海の上をちょっと飛んでいる時も有った気がする。
「海が大荒れぐらいの時の揺れからですので、慣れないとやはり厳しいですね。
受付の方も初めて乗った時は同じでした」
無表情ではあるが何処か余裕がある風体で私の横に立ったマコトさんは立つのを促すように手を差し出してきた。
私はその手を取り、立ち上がったがまだ少し波に揺られているような気がした。
「歩いて居ればある程度は楽にはなるでしょうし、行きますか」
「は、はい」
マコトさんに先導され監獄の入り口に向けて歩き始めた。
「かなり北上したような気がするんですけど、ここ、
島国のどの辺りになるんですか?」
私は歩きながら自分が今いる所の位置合いについて求めた。
「簡単に言ってしまいますと、島国の北に当たります。
実際、どのあたりかは細かくはお教えできないのですが……」
49地区の地図が頭の中にあるのならこんな感じですと言う様に説明をされた。
・洋上フロートは島国の南側に展開されている
・島国のゼログラウンドの西側で大地が割れており、そのまま北に抜けれるように
なっているが、ハンター協会のみ航行出来るようになっている
・その割れ目を北に進み、島国の大地を抜けて少し進んだところにあるそうだ
・なお、地図には記載されていないが49地区に居るなら知っていても問題ないと
判断したので簡単ではあるが説明する
「……結構ざっくりですが、地図には島は確かに有りませんでしたね」
「ええ、一応49地区島国・離島監獄エリアと呼ぶようにされています」
「そういえば、通って来た所も進入禁止なんですか?
確か、ゼログラウンドの周辺は立ち入り禁止だったかと」
「ええ、そうなります。
島国を半分にし、東半分が一般人は立ち入り禁止にされています。
此処からもっと北側に離れた大きい島はありますが、そちらは立ち入りは可能です。
水上バスではなく船になりますがかなり遠回りしないといけません」
今まで平地続きの地区に居たので49地区のような島国に来るのは初めてだが、
思った以上に広いが、不便なところもあるものだと考えさせられる。
歩きながら話している間に大きな門と左右を見てもどこまであるのか判らない
壁の前に着いた。
「ここが入り口となります」
マコトさんに言われ、入り口を上の方まで眺めた。
「大きいですね?後、壁も向こうの方見えませんけどどこまであるんですか?」
「監獄エリアのこの島自体を壁で覆っています」
驚きのあまりマコトさんを見ながら「え?」と声にしていた。
「島自体広くとっております。
49地区だけでなく各地区の犯罪者を収容するためとなります。
収容可能人数は1万人。中には自給自足用に畑や水処理プラントを
備えておりますね。
電気・ガスは本国と海底ケーブルで繋がっております」
「へぇー」
この島は監獄ではなくても人が住めるようにしているという事なのだろうか。
マコトさんが入り口に居る警備員の人と話、私達は警備員用の小さい扉から中に入った。
「…てっきり、大きな扉から入るのもかと思ってました」
大きい扉がどの様に開いて中に入っていくのか想像してんだけど、まさか警備員用の小さい扉から入るとは思いもしなかった。
「あちらは、犯罪者用の扉になり、収監される時のみ開きます」
「そっち様ですか」
「はい。
重々しい大きい扉を見た犯罪者は贖罪するように頭を垂れ、中に入って刑期を全うすると、そういうためになります」
「それは……」
犯罪者でも相当辛いのでは?と思ったのだが、マコトさんは続けて言った。
「ここに来れてラッキーと思って、笑わないために頭を下げて笑うのを堪えて
居るだけなのですがね」
「へ……」
私は気の抜けた声を発していた。
「監獄エリアはここしかありませんが、各地区で犯罪者は警察の建物に留置・
刑期真っ当までそこで暮らさなくてはなりません。
特に軽犯罪者はここに護送する必要はないためとなります」
「え…でも、ここって監獄、ですよね?」
私は厳しい体罰を与えたりするための施設で、中では酷い事をしているものだと
考えていた。
しかし、マコトさんの反応――無表情だが――を見ている限り、違うのかと思いなおし始めていた。
「ええ、監獄です。
ただし、犯罪者にはそれなりに自由が与えられており、拘束等は殆どありません」
「犯罪者が自由…んーー?」
どういうことだと考えだそうとしたらマコトさんが声を発した。
「中の説明については、お迎えの方が来られましたのでそちらの方に聞いてみてください。私よりは詳しいので」
そう言い終わり、首を横に向けたマコトさんに倣い、私も同じ方を向いた。
少し身長が低い人がこちらに向かって歩いてきていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます